新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)
October 2021 : タンザニアのサファイア (Tanzanian Sapphires)
1.12ct - 2.08ct |
自然光 | 蛍光灯 | 白熱光 | |||
1.13ct 6.0x5.2x3.9mm | 2.08ct 9.1x 7.3x4.3mm | 1.12ct 6.9x5.4x3.3mm | |||
Songea | Tanzania |
タンザニアのサファイア産地は、ケニアとの国境を流れるウンバ川 と南部のソンゲア・トゥンドゥルーとの二か所があります。
一般にウンバ川流域のサファイアは1カラット未満の小粒なものが多く、一方でトゥンドゥルーからはアレクサンドライト型の色変化を示すもの、数カラットの大きさにもなる多彩な色合いの宝飾品級が比較的に多い等の特徴があります。
しかし、タンザニアのサファイアのほぼ全量がスリランカやタイで加熱加工やカットされ、その過程で詳細な原産地情報が失われてしまい、タンザニア、あるいはアフリカ産として流通するのが普通です。
したがって、今回入手した中では ”天然ブラック・グリーンサファイア” と称された1.13 カラットのサファイアが非加熱、ソンゲア産と記されていたもの以外は正確な産地が不明です。
1.13 カラットのブラック・グリーンサファイアは、確かに濃青緑色ですが、素晴らしく透明度が高く、包有物が殆んどありません。
このルースは自然光下では濃い青緑色なのですが、撮影時に照明を変えると蛍光灯下では青紫に、白熱光下では赤紫に見えることに気が付きました。
それぞれの照明の波長に応じて宝石の色合いが変化して見えることはよくあることですが、このサファイアのような顕著な色の変化は稀です。 この色の変化は微量のクロムとヴァナジウムを含むためとされています。
Gems &Gemolog 誌 1992 Spring と 1995 Spring にソンゲア・トゥンドゥルー産のサファイアにはごく稀にアレクサンドライト効果を示すものがあるとの記載があったのを思い出して、なるほどと思いました。
このような色の変化を見せるサファイアに初めて遭遇しましたが、写真撮影でもしない限り、普通に眺めていただけでは気が付かなかったでしょう。 実際市場で見かける機会はまずありません。
2.08 カラットのオレンジ色 のサファイアは包有物が多いのですが、きれいな色合いです。オレンジ色はサファイアには稀な色合いです。テーブル面を広くとたカットなので、3カラット余りの大きさに見えるのも何よりです。
1.12 カラットの青緑色のサファイアも素晴らしく透明度が高い魅力的なルースです。
今回は、久しぶりにタンザニア産の個性的なサファイアが揃いました。