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(New Gemstone Gallery)

September 2015  :  多色のゾイサイト(Multi color Zoisites)

1.87ct 8.1x6.1mm 3.43ct 11.08x8.72mm
1.12ct 6.8x4.5mm 1.78ct 9.2x6.6mm
Merelani Hills, Tanzania


  タンザナイトとは、タンザニア産の黝簾石(ゆうれんせき : ゾイサイト)にティファニー宝石店が名づけた宝石名です。
 1960年当初、メレラニ丘陵で最初に発見された結晶はサファイアと思われた青ー紫の色合いでした。 
タンザニア産のゾイサイトは、実際には結晶軸の方向により青ー紫ー朱色を示す多色の結晶です。
 これらの色合いは、主に青と紫はクロムとヴァナジウムによる発色ですが、その他に鉄、チタン、マンガン等の不純物により様々な色合いを示します。
 メレラニ丘陵産のゾイサイト結晶は本格的な採掘が始まると、多くは褐色を帯びていて、加熱により褐色を取り去る処理が行われています。
 最初に地表に露出して発見された青い結晶は、地殻変動による圧力で自然の加熱処理の結果、純粋な青ー紫になったと考えられています。
 長い間、市場に出回るのは殆んどがサファイアに似た青ー紫でしたが、近年、それ以外の多色の石にも関心が高まり、これまでは省みられることの無かった多彩な色合いのゾイサイトが姿を見せるようになりました。


多色のゾイサイト(Multi color Zoisite)
  3.43カラットのルースは一見褐色を帯びた緑に見えますが、光の加減や角度によりパステルカラーの緑に青、紫、淡黄、淡褐色等々実に多彩な色合いを示します。
 こうなるととてもタンザナイトと呼ぶにはふさわしくなく、事実ゾイサイトとして売られていたものです。  
  外観は全く地味な色合いなので宝石用途には向きませんが、ゾイサイトのコレクションとしては価値の高いものです。
3.43ct 11.08x8.72mm
多色のタンザナイト(Multi color Tanzanite)
  多色といっても無色と淡黄と淡青とが混じったルースです。
このような色合いは、かつては欠陥品として殆んど無視されて
いたのですが、近年では、これも天然の宝石のありようとして
評価され、市場に多く姿を見せるようになりました。
 小さくて、あまり見栄えのしないルースなので、宝飾品には
向きませんが、コレクションには加えておきたいものです。
1.12ct 6.8x4.5mm


ピンクのゾイサイト(Pink Zoisite)
   ピンク・タンザナイトとして売られていたものです。
鉱物学会では、タンザナイトの名称は認められてなく、ブルー・ゾイサイトと呼ばれていますが、しかし宝石としてタンザナイトの呼称は広く定着しています。
 が、それはあくまでも青ー紫ならともかく、その他の色合いはタンザナイトではなく、ゾイサイトと呼ぶのが妥当と思われます。
 ピンクのゾイサイトにはチューライトと呼ばれる不透明な種類があり、美しいものはカボション・カットされて宝飾用に使われます。
 1.78カラットのルースは透明ですが色が淡い上に亀裂や内包物が多く、やはりピンクの透明な
ゾイサイトのカットされた標本と位置づけるべきものです。
 最近ではもっと美しいピンクのゾイサイトが、市場では最上級のタンザナイトに匹敵する評価を得ています。
1.78ct 9.2x6.6mm

無色のゾイサイト(Colorless Zoisite)

 かすかに緑色を帯びてはいますが、ほぼ無色のゾイサイトと言えるでしょう。
 上記の3点も含め、このような色合いの宝石質のゾイサイトの存在は、かつては想像もできませんでした。
 カルシウムとアルミニウムの珪酸塩に酸素と水酸基とを含む鉱物ですから、純粋なものは無色です。
 鉱物界に純粋なものは極めで稀で、殆んどは主に遷移金属を不純物として含み、多彩な発色が起こります。
 この標本はごく僅かな鉄分を含みますが、例外的に稀な、ほぼ純粋なゾイサイトとして、価値があります。
1.87ct 8.1x6.1mm


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