新着宝石展示室(New Gemstone
Gallery)
September 2018
: 水晶(Quartzs))
様々な表情を見せる包有物入りの水晶(Quartz with varieties of inclusions) 2.19 - 17.04ct |
水晶中の水晶 (Rainbow Quartz) |
緑閃石包有水晶 (Actinolite inclusion) |
向日葵水晶 (Quartz Girasol) |
ヂュモルチエライト包有水晶 (Dumortierite inclusion) |
拡大 | ストロベリー・クォーツ (Strawberry Quartz) |
9.3ct 19.5x13.7x6.8mm | 2.41ct 9.2x7.8x6.6mm | 2.19ct 9.3x7.2x5.6mm | 6ct 14.5x10.9x7.1mm | 9x6mm | 17.04ct 21x15x7mm |
Brazil | Madagascar | Serra do
Espinhaço, Bahia, Brazil |
Djezkazgan, Bektau
Hills, Chimkent, Kazakhstan |
水晶は広範な温度と圧力の条件下で結晶する鉱物です。
とりわけ、他の、より高温、高圧化で結晶して浮遊している鉱物を取り込んで、最後に結晶するのが水晶です。
したがって、冒頭の写真のように、様々な結晶を包有した多彩な水晶がコレクター向けにカットされます。
水晶中の水晶 (Rainbow Quartz : Quartz in Quartz)
水晶が結晶して水中に浮遊している時に、残された水溶液に珪酸成分が多い場合には、既存の水晶を取り込んで新しい水晶の結晶化が進んで水晶中に水晶の結晶が含まれる例があります。
虹の効果が表れるのは、既出の水晶が新しい水晶に取り込まれる際に、おそらく結晶軸の方向が異なり、二つの結晶間でストレスが加わって、微妙な歪が発生したために、可視波長の周波数内で光の屈折と散乱が起きるためと考えられます。
アクチノライト ( Actinolite : 緑閃石 : Ca2(Mg,Fe2+)5[OH | Si4O11]2 ) 包有水晶
緑閃石はありふれた鉱物の一つですから、水晶中に微細な繊維状の結晶が含まれる例はよく見かけます。
あまり美しいものではありませんが典型的な例です。 実物はもっと透明度が高いのですが、写真では暗い影が強調されてしまいます。
ひまわり水晶 (Quartz Girasol)
Girasol (ヒラソル)とはスペイン語で向日葵のことです。
何だか見映えのしないルースをネット上で見かけて、どんなものかと入手したのですが、実物も霞がかかったような冴えない代物です。
調べてみると、特定の結晶軸上に並んで取り込まれた微細な鉱物結晶が光の偏光効果を示すので、向日葵の花が太陽の移動を追って回ることに例えて、向日葵水晶と呼ぶのだとのこと。 X線やラマン分光で詳細に調べない限り、どんな鉱物が取り込まれているのか分かりません。
ヂュモルチエライト包有水晶 (Dumortierite inclusion)
2015年頃から、ヂュモルチエ石の青い針状結晶を含む水晶が登場しました。
全て、ブラジル、バイア州、セラ・ド・エスピニャーソ産です。
ヂュモルチエ石は一般には微細な羽毛状結晶として他の鉱物に含まれて産するため、肉眼でそれと識別することは困難です。
稀に水晶や蝋石に含まれるものがカボションにカットされたものを見かける例があるくらいです。
ブラジル・バイア州産のヂュモルチエ石は、肉眼で識別できる程の最大で3㎜程の長さの結晶を含み、きれいな青い色が特徴です。
この青い色はサファイアと同じ、鉄とチタンとの電荷移動による発色です。
新しく発見されたバイア州の鉱床はかなりの規模のようで、現在も安定した産出があるようです。
ストロベリ-・クォーツ (Strawberry Quartz)
赤い色の鱗雲母 (Lepidocrosite) や赤鉄鉱 (Hematite) 、針鉄鉱 (Goetite) 等の結晶片を含む水晶はその色合いからストロベリー・クォーツと呼ばれます。
最初に発見されたのは、メキシコのソノーラですが、1994年にカザフスタンのチムケントに近い山に美しい色合いの水晶が発見され、一時はかなりの高値で宝石市場に出回りました。
近年は殆ど見かけませんでしたが、最近、ネット市場に2,3の標本が姿を見せました。