新着宝石展示室
( New Gemstone Gallery)
September 2021 : ポルックス石 (Pollucite)
Pollucite 0.62 - 3.33ct |
Walden Gem Mine, Connecticut, U.S.A |
3.33ct 5.4x3.7mm | 2.23ct Ø8.8x5.3mm | 1.72ct 8.4x8.3x4.7mm |
1.12ct 9.1x6.0x3.8mm | 0.63ct Ø5.4x3.7mm | 0.62ct Ø5.5x3.55mm | |||||
宝石や鉱物フェアが殆んどなかった30年昔と比べると、今やネット・オークションや全国各地で毎週のように開かれるフェア等で世界のあらゆる宝石や鉱物標本を手に入れることが可能になった現在の有様は様変わりといえます。
しかし、それでも滅多に見かけることの少ない宝石の一つがポルックス石です。
もともと産地が限られているうえに、宝石質の結晶が極めて稀にしか採れないことがその原因でしょう。
ポルックス石は、したがってツーソンやミュンヘン・ショー等の海外の大きなフェアか、あるいは東京や大阪等の国際的なショーに、海外の出品者が運よく持ってくる機会にしか入手が困難な、極め付きの稀少な宝石です。
今回展示するのは、コネチカット州のポートランドに近い Walden Gem Mine 産のルースを6点まとめて入手したものです。
実は1980年代半ばに最初に入手したポルックス石が0.98カラットと小さいながら同じ産地のものでした。
アレクサンドル・フェルスマンの ”石の思いで” の中のエルバ島のペグマタイトの記述の中にたった一行出てくるだけの写真もない稀少な鉱物がどんなものか、長い間心に残っていただけに、ようやく出会ったポルックス石はとりわけ愛着を覚える宝石でありました。
この産地は、トルマリンやアクアマリンと共にポルックス石を産した小規模なペグマタイトだったため現在では枯渇してしまっているようですが、おそらく古い結晶の在庫からカットされたものでしょう。
かなりの包有物を含む透明度の低いルースですが、ともあれ、ポルックス石を産した数少ない産地のルースとあれば、貴重な標本です。