新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)


September 2023 : アフガニスタンのピンクトルマリン (Afghan Pink Tourmalines)


       
 0.84 - 5.56ct   64x33x24mm Vama, Nuristan  32.8cm Pech Nuristan

   アフガニスタン北西部の山岳地帯には無数のペグマタイト鉱脈があり、最大では数十㎝に達する美しい結晶を産します。
 とりわけ、ヌーリスタン州のMawi、Paprok、Pech 等のペグマタイトは、稀なピンクのトルマリン結晶の産地です。
赤やピンクのトルマリンはマンガンイオンによる発色ですが、残念なことにアフガニスタン産のピンクのトルマリンの結晶の大半は内部に亀裂や包有物を含み、宝石ルースとしてカットされる例は滅多にありません。
  が、最近、ルベライトのような濃いピンクや、透明度の高いピンクのルースがようやく姿を見せました。
 
        アフガニスタン産のピンクのトルマリンで、これ程大きく、濃い色合いで、透明度の高いルースは滅多にありません。
 ブラジルの ミナスゼライス州は、空前のピンクのトルマリンや赤いルベライトの産地ですが、しかし大半のルースは多くの包有物を含みます。
 が、ルビーと同様、ルベライトが多くの包有物を含んでもやむを得ないとされ、その濃い色合いが高く評価されるというのがルベライトという宝石なのです。
 したがって、写真のルースは5.56カラットという大きさと、透明度の高さとで、アフガニスタン産トルマリンとしては稀に見る濃いピンクの逸品に違いありません。
5.56ct 12.1x9.0x6.4mm   

一般的なピンクのトルマリンルース
     
1.35ct 10.2x6.6x3.5mm  0.84ct 7.2x4.2x3.3mm   0.92ct 8.0x4.0x2.7mm
  写真の3個のピンクのトルマリンルースは、ごく一般的な標本級のピンクトルマリンです。
とはいえ、右端の0.92カラットのルースがこれまでの30年余りのコレクションで出会った、唯一のピンクのルースなのですから、今回出会った、前述の5.56カラットの逸品とほぼ同時に出会った、1.35カラットと、0.84カラットのアフガニスタン産のピンクのトルマリンが、どれほど稀少なものなのかは、言うまでもありません。

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