菱鉄鉱(Siderite)
宝石質結晶(Gemmy
crystal)4.2x3.7x1.7cm Morro Velho Mine, Nova Lima Iron Quadrangle Minas Gerais, Brazil |
1.14ct
8.7x4.7mm Minas Gerais, Brazil |
4.5x4.0x2.5cm La Mina Estrella, Granada, Spain |
化学組成 (Formula) |
結晶系 (Crystal system) |
結晶形 (Crystal form) |
モース硬度 (Hardness) |
比重 (Density) |
屈折率 (Refractive Index) | ||
FeCO3 | 三方晶系 (Trigonal) |
3 1/2 - 4 1/2 | 3.96 | 1.633-875 |
名前と産状
酸化鉄成分が62%と純度の高い鉄鉱石となるためギリシア語で鉄を意味する ”sideros” に因んで1845年に命名された鉱物です。
和名は方解石や菱マンガン鉱等、同じ炭酸塩鉱物で三方晶系に特有の菱面体の結晶形の産状に因みます。
中低温の熱水鉱床、ペグマタイト、交代鉱床、堆積鉱床等、広範な産状で世界各地に産し、純度の高さから重要な鉄鉱石として採掘されます。
カナダのモン・サン・チレールからは10cm余りの、ポルトガルのパナスケイラ鉱山からは3cmの、オーストリアのエルツブルグと ヒュッテンブルグの鉱山からは5cmの結晶が採れた記録があります。
宝石質の菱鉄鉱
炭酸マンガン結晶の菱マンガン鉱が時に素晴らしい宝石となり、そのピンクの結晶とカットされたルースはコレクターに最も人気の高い結晶となっています。
同様に菱鉄鉱も美しい結晶は宝石としてカットされると鉱物事典には書いてありますが,写真すら見たことはありませんでした。
宝石質とは言えないにしても、なかなか美しい菱鉄鉱の結晶はかつてバルセロナの鉱物ショーで手に入れて、それ以来待つこと25年余り、ようやく巡り会ったのがこのまるで見映えのしない小さな菱鉄鉱のルースです。
ブラジル・ミナス・ジェライス、オウロ・プレート周辺の鉄の四角地帯から宝石質の結晶が偶に採れるのですが、モース硬度が低く、完全な劈開性を持つ菱鉄鉱の結晶のカットは困難を極めます。
滅多に見かけない菱鉄鉱のルースですからとりあえずはコレクションに加わった次第。
何千万年か何億年か地底で眠っていた目の覚めるような結晶をカットしたルースに何時の日か出会わないとも限りません。
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