マンガン・タンタル石
(Manganotantalite)
2.32ct 7.82x5.38x2.99mm | ||||
Brazil |
世界各地のタンタル石結晶
(Tantalites from world localities)
Mn-Tantalite with Quartz and Cleavelandite 10㎝ | |||||||||||||||
Brigham Young Univesity Collection | 4x3cm Tom Epamimondos Collection | Fabian Wildfang Collection | |||||||||||||
Pilbara, Australia | Minas Gerais, Brazil | Alto do Giz, Ecuador、 Rio Grande do Norte, Brazil | Laghman Province Afghanistan | ||||||||||||
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結晶 5.2㎝ ルース 8.8ct Dara-i-Pech Pegmatite Field, Kunar, Afghanistan Gail & Jim Spann Collection |
タンタル石は自然界には酸化タンタルとして世界各地の稀元素を含む花崗岩ペグマタイト鉱床に発見されます。
一般には周期律表で同じ5族のニオブとの間に連続的な固溶体を成し、タンタル成分が多い場合にタンタル石、ニオブ成分が多い場合にはニオブの旧称,コロンビウムに因むコルンブ石として産出します。
さらに成分として含まれる、鉄、マンガン、マグネシウムの量が多い場合にはそれぞれの元素名をつけて呼ばれることがあります。
冒頭の写真は不純物のマンガンにより赤い発色を見せる、透明度の高いルースとしてカットされたものです。
宝石質の透明なタンタル石の結晶は極めて稀で、主にブラジルのミナス・ジェライス州やリオ・グランデ・ド・ノルチ州等から時折採集され、カットされたルースが10年に一度くらい、市場に登場します。
過去に何度か市場で見かけたものは、しかし、小さく透明度が低い標本級が殆どでしたが、今回ようやく宝石質のかなり大きなルースに出会いました。
世界の推定埋蔵量の半数はブラジルにありますが、産出量ではオーストラリアが世界の75%を占めています。
日本でもかつて福島県石川町のペグマタイトに産しました。 さらに茨城県真壁のペグマタイトでも、60年も昔のことですが、1cm角の平板上の結晶を採集したことがあります。 ただし日本で産するのはニオブ成分比が高いコルンブ石なのだと、ものの本に書いてありました。
一般にはごく限られた鉱物愛好家のみが知るタンタル石ですが、スマートフォンが普及し始めて以来、超小型で大容量のコンデンサーの材料としてタンタルが注目を集めて需要が急増し、世界的に供給が逼迫したため、コンゴの漂砂鉱床が反政府ゲリラの資金源として違法に採掘されていることが世界的な話題となったことがありました。