メキシコのトパーズ (Mexican Topaz)


   
25x11x14mm   12.8x11.5mm  12.7x10.0mm 6.8x7.1mm  8.5x4.2mm 8.0x8.4mm 10.5x6.5mm
Villa de Arriaga, El Tepetate, Mexico 

  メキシコには無数の銀、鉛、亜鉛、錫等の重金属鉱山がありますから、こうした鉱床の脈石としてトパーズが採れても不思議はありません。
 が、30年以上昔にツーソンにて小さなルースを入手して以来、ついぞ、ルースはおろか、結晶やルースの写真すら見た記憶がありません。
 今年になって、ようやくネット上に小さな結晶が何点か姿を見せました。
いずれもサン・ルイス・ポトシ (San Luis Potosi) とサカテカス (Zacatecas) 間の100平方㎞に散在する鉱山産からのものです。
 Mindat とグーグルアースから探してみると、Mina Veronika と言った鉱山名こそあるものの、実態はサボテンが生い茂る荒涼とした土地の散在する集落中に小規模な手掘りでの採掘がおこなわれているようです。
 トパーズはどうやら火山性の熱水作用で生成したと考えられ、宝石質か否かは不明ですが、オパールを伴うこともあるようです。
     
1.43ct 7.32x5.53mm  2.55ct 9.98x6.30mm  1.45ct 7.33x5.51mm  38.4x26.8mm  3cm El Tepetate. Mexico 
Mexico  Natural History Museum, Basel, Swiss
 30年以上昔にツーソン・ショーにて入手したメキシコのトパーズ・ルースです。
 小さなルースですが透明度の高い、美しい色合いの宝石級のルースです。
それ以来、メキシコ産のトパーズを市場で見かけた記憶はありません。
 右の大きなルースは恐らく120カラットほどあると思われますが、1974年に出版された、ヘルマン・バンク著の ”宝石の世界” にメキシコ産のトパーズとして、紹介されていました。
 大きさ、色合い共にブラジルのインペリアル・トパーズに匹敵する逸品です。
私の知る限り、ありとあらゆる宝石の本や資料 の中で、これがメキシコ産のトパーズ・ルースの唯一の写真です。
 これらのルースは、冒頭の写真の産地で採れた宝石質の結晶から得られた稀なるルースと考えられます。 

その右の写真は1997年刊のドイツの鉱物誌、”Lapis” のドイツ語版 ”Extra Lapis No.13 : Topas ” に掲載されていた El Tepetate 産のトパーズのマトリクス結晶の写真です。
 この写真も、手持ちの資料にある、唯一のメキシコ産トパーズ結晶の写真です。


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