ブラジルのトルマリン(Brazilian Tourmaline)


Chromolite 2-7ct
Poquim Mine/Cruzeiro Mine
Rubellite 8-41ct Jonas Mine  Indigolite 52ct
 Manuel Mutuca Mine


 ブラジルは世界で有数の宝石産出国です。多くは主にペグマタイト鉱床に産するアクアマリン、トパーズ、クンツアイト、アレクサンドライト等々、美しい色合いの宝石で、その種類と品質の高さと生産量とで圧倒的な地位にあります。
 数ある中で、しかしブラジルの代表的な宝石と挙げるなら、第一にあげられるのがトルマリンです。
ブラジルのトルマリンは他を圧倒する多彩な色合いと自然の驚異ともいえる大きく見事な結晶の数々は世界の博物館や個人のコレクションの中心的な存在となっています。
 アメリカのサン・ディエゴやアフガニスタンからも素晴らしく美しい結晶が採掘されますが、多くは透明度に欠けるため宝飾品としてカットされることはほんの一部です。
 宝石用のトルマリンのルースの大半はブラジル産です。しかしパライバ産は例外として、それ以外のブラジルのトルマリンのルースの大半は、産出した鉱山名が明らかにされることも、さらに産出国さえ明記されずに、単にトルマリンとして扱われる例が大半です。
ルビーならビルマのモゴク、サファイアはカシミール、エメラルドはコロンビアのムソーとそれぞれの特産地の際立った美しさが高く評価されるのと比較すると、最上級のトルマリンがこうした代表的な宝石と遜色のない美しさを見せるにもかかわらず、まるでホームレスのごとき扱いしか受けないのは余りにも不当なことです。
 トルマリンが正しく認識されるためにも、まずその素性を明らかにして、由緒正しい出であることを明らかにする必要があります。
 と考えて、主要な鉱山産の結晶と、そのルースがどんなものか、いざ調べてみるとなかなかまとまった資料がありません。
 手持ちの結晶やルースも大半はラベルの原産地表示が標本やルースの集散地の地名になっているものが多く原産地を確定できません。
改めて主産地のブラジルでさえ、トルマリンが単なる商品として粗雑に扱われていた事をうかがわせるものです。
 今や世界的にもっとも名高いのは北部パライバ州産の銅とマンガンを含み熱帯の珊瑚礁の海のような輝かしい色合いのトルマリンですが、しかし、ミナス・ジェライス州のトルマリンも美しさでは決して劣るものではありません。
 今後、シリーズとして主要な鉱山のトルマリンを紹介してブラジル産のトルマリンの全貌を明らかにして行きます。

まずはクルゼイロ鉱山から。

 Brazil is a leading gem producing country in the world. Particulary, varieties of colored stones from pegmatite mines, such as aquamarin, tourmaline, topaz, kunzite, alexandrite etc. dominate the world gem stone market both in quality and quantity.
Among all colored stones, tourmaline represents as the symbol of Brazilian gem stone for its rich color variation, and superb quality as museum piece crystals. Superb tourmaline crystals are found in pegmatite veins of San Diego, U.S.A. and Afghanistan etc., but most of them are not suitable for facetting and are not comparable to Brazilian one.
So far, the world gem tourmaline market is dominated by Brazilian origines. Despite these facts, except Paraiba origine, no careful attention has been paid for the origin of Brazilian tourmalines. Compared with respects of origins for legendary localities of representative gemstones, such as Mogok for Ruby, Muzo for Emerald and Kashmir for Sapphire, is'nt it unfair that Brazilian tourmalines did not receive the proper respects ? As hown on top photos, the best Brazilian tourmalines are as attractive as emerald, ruby and sapphire.
 Now, it is time to clarify origines of representative Brazilian tourmalines before all basic informations are forgotten.
However, I found it is not such easy job. There remains very little documents nor photos of even important mines and most of facetted stones and specimens are not labeled with definitive origine but with town name of distribution.
Although Paraiba tourmaline became too famous for its bright colors like, coral sea, tourmalines from mines of Minas Gerais are
attractive enough as Paraiba one.
Series of major mines will show you the beauty of Brazilian tourmalines ;

Let's start from Cruzeiro mine.


2.ゴヴェルナドール・ヴァラダレス周辺のトルマリン鉱山
   (Tourmaline Mines around Governador Valadares)
2−1 クルゼイロ鉱山(Cruzeiro Mine)
クルゼイロ鉱山産の多彩な結晶
Tourmalines from Cruzeiro Mine
 
  多色の結晶 高さ 26cm
Multi Colored Crystal
1971年に採掘された結晶 8.4kg
Crystal mined in 1971
水晶の上の結晶 高さ 40cm
Tourmaline on Quartz
Los Angeles Natural History Museum
水晶を伴う結晶(Tourmaline with Quartz) 
左(left) 15x12cm  右(right) 16x12cm
宝石質のレピドライト(リシア雲母)
Gem quality lepidolite
   


1.27 − 5.62ct  46mm リシア雲母と曹長石上のトルマリン 80x60mm
Tourmaline crystals on lepidolite and cleavelandite
Cruzeiro Mine, Minas Gerais, Brazil
 資料を整理したところ私のコレクションにもクルゼイロ鉱山産のトルマリンがありました。
前述や後述の世界の錚々たる博物館の収蔵品と比べるとまるで比較にはなりませんが、しかし如何にもクルゼイロ鉱山産を偲ばせるたたずまいを見せる標本です。
 右の曹長石とリシア雲母のマトリクスは細部を拡大するとごく小さな針状結晶ですが透明な結晶がクリーヴランダイトから伸びていて美しいものです。
 ルースも決して上質のものではありませんが、今となっては貴重な標本です。

 I have cheked my collection and found crystal specimens and faceted stones of Cruzeiro Mine. Although size and qualities are not comparable with that of world's museums, at all, yet their appearance and characteristics are of Cruzeiro quality enough.


ジャゾット鉱物コレクションのクルゼイロ鉱山産トルマリン結晶
Tourmaline Crystals of Cruzeiro Mine from Giazotto Mineral Collection

Photo Courtesy : Giazotto Mineral Collection
200x100mm 170x120mm Tourmaline with Quartz,
Lepidolite and albite
270x150mm
中央の結晶(Crystal in the center) 450x130mm 20kg
Rubellite 130x80mm

 
 イタリア・ピサのジャゾット・コレクションは個人の鉱物結晶コレクションとしては世界で最上、最大の規模を誇ります。 
 ワシントンのスミソニアン、やヒューストン、ニューヨーク、ロサンジェルスの自然史博物館等々、世界的な博物館が束になってもイタリアの一個人のコレクションには、質で及ばないといっても過言ではありません。
 しかもジャゾット氏は鉱物収集はほんの趣味で、本業はイタリアとフランスがピサ公郊外に設置している重力波検出装置 ” VIRGO ” を率いる理論物理学者なのですから、そのスケールには感嘆するのみ。
 因みにジャゾット氏の父上は、アルビノーニの残した楽譜の断片から、有名な ”アダージオ” を編曲した音楽学者なのです。
 ジャゾット・コレクションにはクルゼイロ鉱山産トルマリンの最上の標本があります。
とりわけ最初の高さ200mmの青と緑の2色の結晶は他の如何なる資料にも報告されたことがありません。   3番目の水晶を伴う27x15cmの結晶は冒頭のロサンジェルス自然史博物館の40cmの標本と同じ1971年産の歴史的な発見時のもの。
 他の巨大な結晶や美しいマトリクス等々、驚異の個人のコレクションと言えましょう。

 Giazotto Collection has some of the best crystals recovered from Cruzeiro Mine. Particularly, 20cm high, blue and green bi-color crystal was never reported from this mine. And the 3rd 27x15cm crystal with quartz is the same historical discovery of the year 1971, of which the biggest one is in display at Natural History Museum, Los Angeles. Together with other huge crystals and beautiful matrix, it is indeed a remarkable collection owned by one private collector.


クルゼイロ鉱山産トルマリンの宝飾品
(Tourmalines & Jewelry from Cruzeiro Mine)
ウォーターメロンの結晶とルース
Waterelon crystal and faceted stones
結晶(Crystal) 12cm と
ペンダント(Pendant) 16.5ct
 リング(Ring) 11.83ct
ルベライト(Rubellite Jewelry)
     
ミナス・ジェライス州、ゴヴェルナドール・ヴァラダレス周辺のぺぐマタイト鉱山地帯
北西70kmにクルゼイロ-アリカンガ鉱山、その南35kmにゴルコンダ鉱山群。
ゴヴェルナドール・ヴァラダレスをはさんで東南に50kmにはジョナス鉱山群がある
ブラジルで最大のクルゼイロ鉱山の露天掘り鉱
中央の巨大なトンネルはペグマタイト鉱脈採掘跡

鉱山の背景の尾根にクルゼイロ村
Cruzeiro Mine


ブラジルのペグマタイト(Pegmatite of Brazil)



 トルマリンは熱水鉱床、変成鉱床等、様々な成因で出来る鉱物ですが、宝石質のトルマリンはほぼ全てペグマタイト鉱床で発見されます。
 世界には宝石質のトルマリンを産するペグマタイトは数多くあります.
しかし規模の大きさと、産出するトルマリンの質と量、さらに多彩な色合いでは、ブラジルが際立った存在であることは万人が認めるところです。
 ブラジルではバイア州、セアラ州、エスピリト・サント州、ゴイアス州、パライバ州、リオ・デ・ジャネイロ州と広範にペグマタイト鉱床がありますが、とりわけミナス・ジェライス州の北東部の南北720km、東西320kmの広大なペグマタイト鉱床地帯はその規模もさることながら、産出する鉱物の種類の多さ、結晶の大きさと美しさ等、あらゆる面からみて、世界を代表するペグマタイト鉱床です。
 1500年にブラジルを発見したポルトガル人は1554年から1674年まで4度に及ぶ大探検隊を送り込んで黄金とエメラルドを探しました。
 熱帯サバンナ気候による濃密な密林と険しい山岳地形とに阻まれて探検はもっぱら峡谷を縫うルートに限られ、それぞれ数年から10年を要する困難なものとなりました。しかしその成果は金、ダイアモンド、鉄鉱石、マンガン、ボーキサイト、タングステン、錫、ニッケル、トリウム、そして無数の宝石鉱物の発見をもたらしました。
 その豊穣さはポルトガル人がこの地を、全ての鉱物を意味するミナス・ジェライスと名づけたことで十二分に表わされています。
 ブラジルのペグマタイトは約4億9000万年昔、即ち未だアフリカ、ユーラシア、アメリカ、インド、南極等の大陸が分裂する前の一つの巨大なゴンドワナ大陸であった時代の地殻変動によって出来たと考えられています。

 Among various geological occurences, gem quality tourmaline commonly occurs in granitic pegmatite.
And Brazil is without doubt the richest in gem pegmatites in the sate of Ceara, Rio Grande do Norte, Paraiba, Bahia, Goias, Minas Gerais, Espirito Santo and Rio de Janeiro.
Particuflarly countless pegmatite veins in the north east of state of Minas Gerais in the vast area of 720km north-south and 320km east-west is the richest not only in gem resources but also in gold, diamond, iron, mangan, vauxite, tungsten tin, nickel, thorium ores. Discovered by Spanish in 1500, and owned thenafter by Portugese, 4 big exploration team were dispatched during 1554 and 1674 for gold and emerald. Due to the thick vegetation and steep mountain roads, each exploration were tough and required 10 year the longest one. But resultied to discover such rich mineral resources that Portugese named this state as General Mines(Minas Gerais)
 Brazilian pegmatite is considered to have been formed about 490 million years before by the diastrophism, while there existed only gondowanaland before African, Eurasian, American, Indian and Antarctic continents separated.

 ポルトガル語で十字架を意味するクルゼイロの村はゴヴェルナドール・ヴァラダレスの北西、およそ70kmに南北に長く伸びるサフィーラ山脈の東斜面にある鉱山の集落です。 
 この地でトルマリンが発見されたのは1674年に遡ります。
 青い宝石ならサファイアと思った彼らはこの山脈をサフィーラ(ポルトガル語でサファイア)山脈と名づけたのです。 この山脈は本国へはエメラルド山脈と報告されましたが、それは彼らの究極の目的であった緑色の宝石が発見されたためであります。
 しかしながら青と緑の宝石はいずれもサファイアでもエメラルドでもなく、本当はトルマリンでした。
 ただし、この地のトルマリンはいずれも最上のものは素人目にはサファイア、ルビー、エメラルドと見間違うほどの美しさですから、17世紀の探検家が間違ったのも無理のないことです。
The Cruzeiro Village is on the ridge of Saphira Mtns. located about 70km north-east of Governador Valarares. It was 1674 when Tourmaline was discovered here. Portugese though that blue stone was Sapphire and named this mountains as Cerra Safira(Sapphire Mtns.) They reported this mtns. as Emerald Mtns. because they discovered green stone too and believed it as emerald, which was there ultimate motivation for the explaration.
However, blue and green stone were not sapphire nor emerald but tourmalines.


クルゼイロ鉱山の歴史 (History of Cruzeiro Mine)


 17世紀に発見されたにもかかわらず、いつの間にか忘れ去られてしまい、ブラジルでトルマリン等ペグマタイト鉱床での宝石鉱物の採掘が盛んになったのは実に300年も経った1900年代半ばからのことでした。
 というのは、第一にトルマリンが宝石として認知されていなかったために人気がなかったためです。
さらにミナスジェライス州の交通事情が極端に悪く、開発がなかなか進まなかったためです。
 1900年代始め頃、この一帯からサンパウロまで780kmの行程に5週間を要しました。
 交通事情の悪さは100年後の現在でもそれほど改善されたわけではありません。
 広大なブラジル全土の200万km近い道路の総延長のうち舗装率は10%以下に止まっています。
辺鄙な鉱山地帯では雨季になると車両での交通は不可能となり、乾季でも4輪駆動の車両のみがやっと走れるような場所が大半です。
クルゼイロ鉱山で青緑色のトルマリン結晶が再発見されたのは1914年のこと、シャベルとつるはしでの細々とした採掘によって何個かの見事な結晶が採掘され、宝石として研磨されました(Bank, 1979)。
 しかし本格的な鉱山開発は宝石ではなく、当時の新興産業であった真空管等、エレクトロニクス機器の絶縁材としての雲母の採掘が目的で1916年に始まりました。
 当時は人口1000人にも満たない小村落であったゴヴェルナドール・ヴァラダレスは、周辺のペグマタイト鉱床での雲母、石英、長石等、産業用の採掘の中心地として急速な発展を遂げました。
 第2次世界大戦中、この一帯の40ヶ所で600〜800人の鉱夫が採掘に従事し、その中心地であったクルゼイロ鉱山の雲母生産量はブラジル全体の12%を占めました。
 写真のレピドライトは普通の雲母ではなく、極めて稀な宝石質のリシア雲母ですが、こんな見事な雲母を産したことで、クルゼイロ鉱山の特異な質が分かろうというものです。
 鉱山の開発と運営を率いて主に雲母などの軍需物資を扱ったのはGEやRCAなどのエレクトロニクス産業を顧客に持つアメリカ人の経営者でした。一方副産物として採集された宝石質の結晶は主に100km北方のもう一つのペグマタイト鉱山地帯の中心都市、テオフィール・オトーニを拠点にしていたドイツ人の宝石商でした。 当時からブラジルで採掘された宝石の多くが南ドイツの宝石加工の中心地である、イダー・オーヴァーシュタインに送られて研磨されていました。
 戦後、雲母の需要の低下に伴って採掘活動も大幅に縮小されましたが、1950年代に宝石質のトルマリンの鉱脈が発見され、クルゼイロ鉱山は新たに宝石鉱山として復活しました。

Although discovered in 17th Century, the pegmatite mining started as late as mid 19th Century, 300 years lator.
First, because tourmaline was not recognized as gemstone. In addition, trafic infrastructure of Minas Gerais was in extreme poor condition and the development of this area has been almost abandoned. In early 1900, the trip from this area to San Paulo, 750 km required as long as 5 weeks. The situation has not been dramatically improve even today. The vast land of Brazilian road extention of 2 milliom km is paved only less than 10%. The trafic situation in the mine area, located in an isolated district is not possible in the rainy season and is possible only with all-weal vehicles even in the dry season.
In 1914, at Cruzeiro mine, blue-green tourmaline was re-discovered and facetted for gemstone. Then extensive mining started in 1916, but not for gemstone use tourmaline mining, but for rising electronics industry use mica, quartz and feldspar mining was the main purpose. The village of Governador Valadares with less than 1000 population started as the center of sorounding pegmatite mines. During the 2nd world war, 600 to 800 miners worked at 40 mines and the most productive Cruzeiro mine represented 12% of entire Brazilian mica production.
Mines for industial material were operated by American capitalist, while gem stones as bi-products of mine were handled by German dealers based at Teofilo Otoni, another center city of 100km north and most of Brazilian gem stones were sent to Idar-Oberstein, Germany for cutting.
After the 2nd world war, while the demands for mica decreased, new gem tourmaline veins were discovered and Cruzeiro mine survived as gem mine.

クルゼイロ鉱山の地質とトルマリンの産状

 クルゼイロ鉱山では主に3本のほぼ南北に珪質岩と雲母片岩を貫いて並行する長さ1300mのペグマタイト岩脈を数ヶ所のトンネルと露天掘りとで採掘が行われています。
 ペグマタイト脈は場所により2〜3mの薄い層から最大で55mもの巨大な広がりとなります。
掘り進むうちに板状の曹長石のクリーヴランド石の結晶やリシア雲母、黒いトルマリン等の層が現れると、宝石質のトルマリンを含む晶洞が近い徴です
 宝石質のトルマリン結晶はペグマタイト岩脈を構成する石英とその周辺の微斜長石層付近の晶洞中にリシア雲母、白濁した石英、正長石、微斜長石、時には1mもの長さの風化したスポジューメンの結晶と共に発見されます。不透明ー透明な宝石質のトルマリン結晶は長さが10−25cmに及び、緑、青緑、ピンクと様々な色合いがあって、晶洞の壁に単独で、あるいは群晶となってくっついて発見されます。
 一方同じ鉱脈の反対側にあるアリカンガ鉱区では風化が激しくペグマタイト岩脈そのものが柔らかなカオリンに変質していて、鉱夫はシャベルやつるはし、時には素手で宝石質の結晶を掘り出せるほどになっている状態となっています。
 クルゼイロ鉱山のペグマタイトでは宝石質でない、ガーネット結晶塊や大きな緑柱石の結晶、さらにアンブリゴ石、燐灰ウラン鉱、コルンブ石、タンタル石、錫石等の鉱物を伴いますが、こうした鉱物の存在によって、ペグマタイトを形成した熱水鉱液にはリチウム,硼素、ベリリウム、マンガン、タンタル、ニオブ、錫、燐、ウラン、そして銅さえもが含まれていたことが分かります。

クルゼイロ鉱山産のトルマリンの特徴 ( Characteristics of Cruzeiro Tourmalines)

 クルゼイロ鉱山のトルマリンは巨大で形の整った結晶と共に、最上級の多様な色合いのトルマリンを安定して産出しました。
 1955年から1970年までの15年間に平均して毎週200kg、全部で15トンに及ぶ結晶を産出しました。
そのうち宝石質は週当たり、平均1−2kgでした。 反対側のアリカンガ鉱区での生産は量こそクルゼイロ鉱区に及びませんでしたが宝石質の結晶の比率は遥かに高いものでした。
  主要な晶洞での産出量は余りにも多いのでその全てが記録に残されてはいませんが、次のいくつかの例を挙げるだけでもクルゼイロ鉱山が如何に桁外れの存在であったかが想像できます。

 1966年に晶洞中にたった一つだけ発見された重さ14kgの深紅の結晶からはルベライトとしては稀な殆ど透明なルースが10,000〜12,000カラットも得られました。
 1968年に発見された一つの晶洞からは不透明ですが合計2000kgもの鮮やかな緑の結晶が採れ世界中に標本や彫刻用として販売されました。
 1971年にはブラジルで最大のルベライトの発見がありました。複数の晶洞から合計で400個もの結晶が発見され、クルゼイロがブラジルで最大のルベライト鉱山との名を高めたのでした。
 最も記憶に残る発見は1982年のアリカンガ鉱区での発見でした。一つの晶洞から殆どクリーンな700kgの”鉛筆”のような結晶が発見されたことです。その90%は素敵な緑色で残りが青緑と赤との多色の結晶でした。
1983年と1984年にも何十kgものルベライトや標本級の結晶が発見されました。
 アリカンガークルゼイロ鉱山はその巨大なペグマタイト脈中に今後何十年にも渡ってトルマリン結晶を産出し続ける豊かな鉱脈を秘めていることは間違いありません。

Cruzeiro is probably the most consistent gem-producing region in Brazil. For 15 years, from 1955 to 1970, the Cruzeiro mine produced an average of 200kg per week, totaling 15 tons of crystals. Gem quality crystal production was 1-2kg per week. Alicanga mine, on the oposit side of Cruzeiro mine, produced less volume but much higher proportion of gem quality crystals.
Major pocket finds at Cruzeiro mine were too numerous to mention ;
In 1966, a superb rubellite crystal was taken from a hard-rock pocket that contained no other gem quality crystals. This 14kg deep red crystal cut 10,000-12,000ct of of very clean stones. In 1968, over 2,000kg of largely opaque crystals of fine green color were removed from a single pocket, These crystals were used worldwide for carving and as mineral specimens. In mid-1971, in one og Brazil's largest rubellite finds, 400 crystals were taken from several pockets, This was the find that established Cruzeiro as one of Brazil's premier rubellite mines.
The most impressive find at the Aricanga mine occured in 1982, when a big pocket yielded over 700kg of mostly clean tourmaline "pencils", 90% of which were a nice green with the rest blue-greens and red. Many kilos of jine rubellite and specimen -quality green tourmalines were found at the Cruzeiro as recently as 1983 and 1984, respectively. Because of its size, Cruzeiro(and Aricanga) will probably continue to produce consistently for several more decades.
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