ホネガイ (Venus Comb)


   
ホネガイ ( Venus Comb ) 15x9x6cm  Philippine

動物界 軟体動物門 腹足綱 吸腔目 アッキガイ科 ホネガイ属 ホネガイ種
Animalia Mollusca Gastropoda  Sorbeoconcha Muricidae Murex Murex pecten
 日本の房総半島以南、熱帯太平洋からインド洋の水深20〜50mの砂地の海底に生息し、二枚貝を捕らえてヤスリ状の舌で貝殻に穴を開けて中身を食べる肉食性のアッキガイ科の巻貝。
 写真の標本はフィリピン産15cmもの大きさはこの種では最大級です。
 肋骨のような棘が120度の角度で全身に広がっているため なんとも即物的な名のホネガイと命名されてしまいました。
 一方英語では”ヴィーナスの櫛 ”と至って優雅な名で呼ばれているのです。
 しかし姿の美しさは数ある貝の中でもとりわけ印象に残ります。

 自然の造形の巧みさに感嘆せずにいられません。


アクキガイ科の仲間の特徴
 アッキガイ(アクキガイ) とは悪鬼貝と、なんとも恐ろしい名前の貝の種類です。
全身に棘が生えていること、さらに同科のイボニシガイ等、いずれも獰猛な肉食性のため、こんな名前をもらったのかもしれません。
 しかしアクキガイ科の貝はパープル腺と呼ばれる分泌腺からの分泌物が赤紫色の染料として古来より尊重されて来たことでも有名です。
 実はアクキガイ科の貝が獲物を襲うときに使う、プルプリンと呼ばれる毒性の分泌物が貴重な紫の染料となるのです。
 とりわけ名高いのが、シリアツブリガイと呼ばれるアクキガイ科の貝です。
紀元前1600年頃からフェニキア人がこの貝で紫色に染めた布を独占的に販売し、フェニキア紫、あるいは産地に因むティルス紫の布は、金と同じ重さで取引されるほど価値があったとのこと。
 なにしろTシャツ1枚の大きさの布を染めるのに、この貝が1000個も必要であったとあれば、アレクサンドロス大王や、ユリウス・カエサル、クレオパトラ、暴君ネロ等々、一握りの権力者のみが使うことのできた紫色となったのもやむをえないことでしょう。
アクキガイ 10cm 相模湾
Murex troscheli troscheli
シリアツブリガイ
 (Haustellum brandaris)


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