ナンヨウクロミナシ(南洋黒身無)
(Conus marmoreus)


 
9x5㎝  タイ(Thailand)


腹足綱   新腹足目  イモガイ科   イモガイ亜科   イモガイ属   ナンヨウクロミナシ種 
 Gastropoda  Neogastropoda  Conidae  Coninae  Conus  marmorius 
 Wikipedia によるとイモガイ科の貝は全500種とありますが、実はイモガイ科については分類が混乱していて、Conus の下に多数の亜属が使われる等、研究者によりまちまちとのこと。
 実際イモガイには無数といってよいほどの種類があり、これらが変種なのか、独立種なのか、素人はもちろん、専門家でも決めかねているというのが現状のようです。
 が、イモガイは全てが海産種で世界の暖流域の潮干帯から深海まで広範に生息する、したがって膨大な種と変種とがある貝です。
 日本では太平洋側、房総半島以南、日本海側では能登半島以南に生息し、沖縄だけでも110種が確認されています。
 イモガイ科の全てが捕食性で、歯舌が特化した神経毒の毒腺が付いた銛で獲物を刺して麻痺させ餌とする。
猛毒を持つ種が多く、世界で毎年少なからぬ死亡例が報告されています。

猛毒を持つアンボイナ(Conus geographs,  英 :Cigarette snail/Killer snail)
     

 猛毒のイモガイの中で、とりわけ危険なのが、伊豆諸島、紀伊半島以南に生息するアンボイナと呼ばれる最大で13㎝に達する大型の種類です。
 イモガイの毒はコノトキシンと呼ばれる神経性の毒ですが、アンボイナはインドコブラの37倍、人間では30人分の致死量の毒を持っているため、刺されると命にかかわります。
 刺された時の痛みは小さいが、神経が麻痺し、応急処置をしないと、のどの渇き、めまい、歩行困難、血圧低下、呼吸困難等の症状が現れ、重篤な場合は20分程度で死に至るとのこと。
 英名のとおり、たばこ一服のうちに死に至る、あるいは沖縄で ”ハマナカー””波布貝”と呼ばれるのは、ハブのような強い毒をもち、浜の半ばにたどり着くまでに死に至ることもある程危険な貝を意味します。
 この毒には血清がありません。 が、毒は中枢神経ではなく、随意筋を麻痺させるだけなので、刺されたら毒を吸い出し、人工呼吸を施せば助かるとのこと。

 ナンヨウクロミナシはアンボイナに三角班が似ていますが毒はありません。
が、いずれにせよ、イモガイは外観に無数の変種があり、暖かい海の浅瀬で、生きているイモガイに出会ったら、触らないに越したことはありません。
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