スーヴニール ドゥ マルメゾン : マルメゾンの想いで
( Rosa Souvenir de Malmaison )

1843年 Jean Béluze 作出の四季咲きブルボンローズ
Madame Desprez x Tea Rose

       
最大で花径10㎝余りのロゼット咲きの芳香を放つ花が7月から12月まで次々に咲く 

 19世紀央に作られたオールドローズですが、現在も薔薇園や個人の庭に必ず見かける最も人気のある薔薇の一つです。
花の姿と色合いの美しさ、更に爽やかな芳香とを四季咲きで何度も楽しめるとあれば、植えない手はありません。

 ブルボンローズとは、かつてブルボン島と呼ばれた、現在のアフリカ東岸のレユニオン島にて発見された東洋の四季咲きのロサ・キネンシスと西洋の芳香性のダマスクローズとの初めての交配種の系統の薔薇の事です。
 祖先の特質を受け継いだ、カップ咲き、ロゼット状の芳香を放つ四季咲きという特徴があり、この系統から現代の薔薇の交配種が生まれたのです。

マルメゾンの城と薔薇園
       
19世紀初頭のマルメゾン城の庭園  マルメゾン城  現在の薔薇園の一部  ルドゥーテの薔薇図譜 

 
 スーヴニール ドゥ マルメゾン はブルボンローズを代表する薔薇と言っても過言ではありません。
マルメゾンの名前そのものが、薔薇の歴史と密接な関りを現しています ; パリの郊外、西へ10㎞程のセーヌ川下流左岸にあるマルメゾンの城は、ナポレオンと結婚したジョゼフィーヌ ( 1763 - 1814 ) が入手し、離婚後に余生を送った城です。
 ジョゼフィーヌは700ヘクタール余の広大な庭園を世界中から取り寄せた珍しい動物や熱帯植物等を集めた一大博物館へと変貌させました。 更に250種もの薔薇を集めて70ヘクタールの広さの薔薇園をつくったのです。
 19世紀初頭に250種もの薔薇を集めるのは大変なことですが、これらの交配種が現在の2万5千種にも増えた多彩な薔薇の重要な起源となったことを振り返ると、ジョゼフィーヌの功績は計り知れないものがあります。
 さらに、マルメゾンの薔薇を描くために絵師として呼ばれたルドゥーテが残した薔薇図譜は植物学的にも貴重なものです。
というのは、当時集められたのは、大半が世界各地の薔薇の原種でしたから、ルドゥーテの手になる精緻を極めた描写は単に美しいというだけではなく、植物学の観点からも、薔薇の研究の貴重な資料として、なくてはならないものなのです。

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