ダイアモンドとサイミュラント
(Diamond and simulants)


ダイアモンドとサイミュラント 左 自然光 右 白熱光
Diamond and simulants under daylight(left) and incandescent light(right)

火炎溶融法合成サファイア
Flame Fusion Sapphire
1.27ct 6.5mm
 引き上げ法合成サファイア
Pulled Sapphire 
1.28ct 6.6mm
火炎溶融法合成スピネル
Flame Fusion Spinel
1.22ct 6.6mm
イットリウム・アルミニウム・ガーネット
YAG
1.43ct 6.5mm
イットリウム添加キュービック・ジルコニア
CZ/Y
1.93ct 6.6mm
 カルシウム添加キュービック・ジルコニア
CZ/Ca
1.82ct 6.5mm
ダイアモンド
Diamond
1.12ct 6.6mm F/VVS1
ガドリニウム・ガリウム・ガーネット
GGG
2.03ct 6.5mm
 合成ルチル
Rutile
 
1.45ct 6.7mm
タンタル酸リチウム
Lithium Tantalite
2.39ct 6.6mm
 ニオブ酸リチウム
Lithium Niobite 
 
 1.44ct 6.5mm
  チタン酸ストロンチウム
Strontium Titanite
 1.55ct 6.50mm
熱水法合成水晶
Quartz
0.85ct 6.6mm
ジルコン
Zircon
 
 1.74ct 6.7mm
トパーズ
Topaz
 
 1.14ct 6.3mm


 ダイアモンドはその稀少性と比類のない虹色のファイアーを見せる輝きとにより宝石の王者として君臨してきました。
一般には手の届かない高嶺の花の宝石となれば、古来より多くの贋物や模造品、類似品が次々と出現して来ました。
 しかしダイアモンドに似せるためには高い無色透明度と、虹色のファイアーとが欠かせません。
この二つを満足させる宝石は20世紀後半になり、様々な人工の結晶の出現によりようやく実現しました。
 こうした人工の宝石は本来光学や精密工業、エレクトロニクス等の最先端技術の分野の用途に開発されたものが多いのですが、偶々宝石向けにカットするとダイアモンドに遜色のない美しさを見せることで注目を集めました。
 こうしたダイアモンドに類似の宝石の呼称はイミテーション、模造品、等々ありますが、今日では様々な特性が類似している宝石類が、一般的にはサイミュラントと呼ばれています。

ダイアモンドが虹色に煌くわけ

 ダイアモンドの眩い煌きの理由は、高い屈折率にあります。
即ち入射した光が石の内部で屈折し全て表面に戻ってくる(様に厳密な角度でカットされている)ためです。
 虹色のファイアーを発するのは、入射した光が屈折する度に赤から紫までの波長の異なる光に分解されて出てくるためです。
 これは空気中の水滴による屈折で虹が見えるのと同じ原理ですが、ダイアモンドの場合、波長の長い赤と短い紫の光との屈折率の差(分散値)が0.044と大きいためにファイアーが際立って見えるのです。

ダイアモンドとサイミュラントの特性
宝石名  化学組成 モース硬度
屈折率
副屈折 分散 比重 結晶形
ダイアモンド
(Diamond)   
 C 10 2.417 - 0.044 3.52 等軸晶系
(Cubic)
モアッサナイト
(Moissanite) 
 SiC 9¼ 2.648-691 0.043 0.104 3.22 六方晶系
  (Hexagonal) 
サファイア
(Corundum)
 Al2O3 9 1.762-770 0.008-010 0.018 4.00 三方晶系
(Trigonal)
キュービック・
ジルコニア
(Cubic Zirconia)    
 ZrO2 8-8½ 2.150-180 - 0.058-066 5.56-6.00 等軸晶系
(Cubic)
YAG :Yttrium
Aluminum Garnet
 Y3Al5O12 8¼ 1.833 - 0.028 4.55 等軸晶系
(Cubic)
スピネル(Spinel)  MgAl2O4 8 1.728 - 0.020 3.64 等軸晶系
(Cubic)
トパーズ(Topaz) Al2(F,OH)2SiO4 8 1.62-63 0.010 0.014 3.54 直方晶系
(Orthorhombic)
ジルコン(Zircon)  ZrSiO4 7½ 1.93-98 0.005-059 0.038 4.69 正方晶系
(Tetragonal)
水晶(Quartz)  SiO2 7 1.54 0.009 0.008 2.65 三方晶系
(Trigonal)
GGG :Gadlinium
Gallium Garnet
 Gd3Ga5O12 6½ 2.03± - 0.045 7.05 等軸晶系
(Cubic)
合成ルチル
(Synthetic Rutile)
 TiO2 6-6½ 2.616-903 0.287 0.330 4.26 正方晶系
(Tetragonal)
タンタル酸リチウム
(Lithium Tantalite)
 LiTaO3 5½-6 2.22 0.006 0.087 7.30 三方晶系
(Trigonal)
ニオブ酸リチウム
(Lithium Niobite)
 LiNbO3 5½ 2.25 0.090 0.130 4.64 三方晶系
(Trigonal)
チタン酸ストロンチウム
(Strontium Titanite)
 SrTiO3 5-6 2.409 - 0.190 5.13 等軸晶系
(Cubic)


モアッサナイト (SiC)

ファセットされたモアッサナイト 底のファセット菱線が二重に見える 20x シリコン・カーバイド結晶
 29x23mm
シリコン・カーバイドの
透明な結晶薄膜 11mm
 サイミュラントのなかで最も新しく1997年に登場したのがモアッサナイトと呼ばれる人工の炭化珪素の結晶です。
この鉱物は1891年に発見された鉄ーニッケル質の隕石(アメリカ・アリゾナ州の有名なバリンジャー隕石孔から発見されたが、発見当時隕石孔は無名だったため北西10kmにある地名をとってキャニオン・ディアブロ隕石と呼ばれる)から発見されました。
 これを調べ、報告したフランスの化学者アンリ・モアッサンに因みティファニー宝石店のクンツにより1905年にモアッサン石と命名されました。
 実は1881年に、別途ダイアモンド合成の研究中に偶然同じ鉱物が合成されていました。
因みにモアッサン自身もディアブロ・キャニオン隕石中にダイアモンド結晶が発見されたことから、炭素を含む高温の鉄を水中に投げ込んで急冷すればダイアモンドの結晶が得られると考えて実験を重ね、1893年に成功したことを発表しました。
 実はこれは誤りでした。実験失敗の連続に嫌気が差した弟子が天然のダイアモンドを紛れ込ませたためであることがモアッサンの死後明らかにされています。
 モアッサンの方法ではダイアモンドの生成に十分な高圧が得られなかったことが判明しています。
 こうして当初からダイアモンドとは浅からぬ縁を持つもモアッサナイトが100年後に最後のダイアモンドのサイミュラントとして登場したのは面白いことです。
 さて、1881年に偶然合成された人工のモアッサナイトはその化学名、シリコン・カーバイド、或いはカーボランダムの商品名で永らく主に研磨剤や超硬工具用の材料として工業分野で大活躍していました。
 高純度の結晶成長技術が進んだ1980年代以降は1万ボルトを越える高耐圧、1000Aの大電流、更に500℃の高温でも使えるパワー半導体としてエレクトロニクスやファイン・セラミクス、エンジニアリング・セラミクス等の分野で発展を遂げ、更には青色発光ダイオードやハイブリッドや燃料電池自動車の中核素子として脚光を浴びています。
 生産量は全世界で年間100万トンを越えていますが、新分野の発展により将来は更に増大するでしょう。

 ダイアモンド類似品としてのモアッサナイト

 
シリコン・カーバイドは普通は黒や暗緑色の不透明な結晶ですが、宝石のダイアモンドの代替品になる透明な結晶の可能性は1948年ごろから指摘されていました。
 透明な結晶合成への本格的な取り組みが始まったのは1980年ごろからでしたが1996年になってようやくノース・カロライナのCree Reseach Inc.が成功し、現在ではその関連会社のC3社が独占的に販売をしています。
 合成技術の詳細は公表されていませんが、昇華させた炭素と珪素の粉末とを結晶させる一種の気相法です。

モアッサナイトの特徴

 独占的に製造販売しているC3社ではモアッサナイトは他の如何なる物質よりもダイアモンドに近いと謳っています。
確かに上記の表のようにモース硬度と比重と屈折率はもっともダイアモンドに近い物質です。
 更に物議を醸したのはモアッサナイトが市場で鑑別用に使われているダイアモンド・テスターではダイアモンドと識別が出来ないことです。
 ダイアモンド・テスターは宝石の熱伝導率(正確には物質の温度変化への抵抗度の度合いである熱慣性)の違いによってダイアモンドとその他の宝石とを簡単に識別する器具です。
 モアッサナイトの熱伝導率は100 - 350 W/m/Kとダイアモンドの 600 - 2000 W/m/Kよりはかなり低いのですが、熱慣性値が 0.55-1.7cal/cm℃とダイアモンドの 1.6-4.8cal/cm℃とほぼ重なるために、従来のダイアモンド・テスターではダイアモンドと誤認してしまいます。
 このためC3社では両者の識別が可能な新しいテスターも発売しました。
世界中の宝石商に新しいダイアモンド・テスターを売りつける方がモアッサナイトそのものの販売より遥かに大きなビジネスとなります。
 しかしモアッサナイトにはダイアモンドのサイミュラントとしてはいくつかの重大な弱点があります ;

1. 結晶形が六方晶系で副屈折率がある。このためカットされた稜線が肉眼でも二重に見える。
 人工の炭化珪素には六方晶系、等軸晶系、斜方晶系と様々な結晶形があり、さらに六角の原子構造の重なりの違いから150以上もの複合型が形成されます。現在のところ透明な結晶が得られるのは六方晶系のみ。
完全に無色の結晶は未だに出来ず、灰色、緑、褐色等の色合いを帯びる。仮にダイアモンドの色の等級と比較するとモアッサナイトは最上のものでJ−K、多くはL,M,NからT,U.V〜と更に色の濃い等級となる。
* 2010年には天然のダイアモンドのGカラーに相当する1カラットを越える大きさまで改善されています。
現在の技術では大半が0.2から0.3カラットどまりの大きさ。1カラットを越える大きく透明な結晶はごく僅か。
4. 市販価格がカラット当たりUS$400〜600と高価。キュービック・ジルコニアの数百倍、天然の同等のダイアモンド並みの値段。

 こうした弱点を勘案すると、モダイアモンドのサイミュラントとしてのモアッサナイトの商品価値は著しく低いと考えざるを得ません。


サファイアとスピネル、水晶、ジルコン、トパーズ、

自然光
白熱光
火炎溶融法合成
サファイア

1.27ct 6.5mm
引き上げ法合成
サファイア

1.28ct 6.6mm
火炎溶融法合成
スピネル

1.22ct 6.6mm
熱水合成水晶
0.85ct 6.6mm
ジルコン
Cambodia

1.74ct 6.7mm
トパーズ
岐阜県苗木
木積沢
1.14ct 6.3mm

 天然の宝石でダイアモンドのサイミュラントとして考えられるのはサファイア、スピネル、水晶、ジルコンとトパーズです。
いずれも無色透明な結晶をカットすると一見ダイアモンドに見えます。
 しかしジルコン以外の石は屈折率と分散値とが低いため、ダイアモンドのような眩い輝きと虹色のファイアーが得られません。
 ジルコンは光学的にもっともダイアモンドに近く、代表的な天然のダイアモンド・サイミュラント宝石として用いられてきました。
ただし、強い副屈折があり、肉眼でもカットした稜線が二重に見えるため、ダイアモンドとは容易に識別が可能です。

 
サファイア、スピネルと水晶はいずれも天然に無色透明な結晶がありますが、その他の宝石との比較のために、ここでは合成石を使用しました。


合成宝石の登場


合成ルチル(Synthetic Rutile)

 最初に登場した合成のダイアモンドダイミュラントが合成ルチルです。ルチル[金紅石 : TiO2]は天然にもありますが、黒く不透明で宝石にはなりません。合成品は火炎溶融法で酸化チタンの単結晶を作り更に焼きなましをして透明な結晶を得る方法により1948年に登場しました。冒頭の表のようにダイアモンドを遥かに越える高い屈折率と分散値とで眩い煌きにより出現当時は大いに流行したものです。しかし余りにもぎらぎらと派手に光りすぎ、またやや黄色味を帯びた色合いと高い副屈折により稜線が二重に見えることでダイアモンドとの違いは歴然としていたため、短命にして次世代のストロンチウムチタナイトに引き継がれました。
合成ルチル 自然光と白熱光 1.45ct 6.7mm



チタン酸ストロンチウム : Strontium Titanite(SrTiO3

チタン酸ストロンチウム 自然光と白熱光 1.55ct 6.5mm 自然光下のチタン酸ストロンチウム
 2.13ct 9.2x6.5mm
 
  第2世代のダイアモンド・サイミュラントとしてストロンチウム・チタナイトあるいはファビュライト等の商品名でチタン酸ストロンチウムが1955年に登場しました。
 合成ルチルと同様に火炎溶融法で作られ、焼きなましにより無色透明になります。
この石の特徴はダイアモンドと同じ等軸晶系の結晶なので副屈折がありません。 また屈折率もダイアモンドとほぼ同じです。
 しかし分散値はルチルに次ぐ0.190の高い値を持ち同様に強い虹色のファイアーを放ちます。
残念ながらモース硬度が低く傷つき易いためにこれも短命に終わりました。


YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)

 1960年代央に登場したYAGは結晶構造からガーネットに分類されますが天然には存在しない人工の鉱物です。本来光学用途に開発されましたが、現在はレーザーの発振素子として産業用やCD等広範に使われています。
 無色透明な結晶はモース硬度が高く、屈折率が高く、等軸晶系のため副屈折がないのでダイアモンド・サイミュラントとして1960年代後半から1970年代央まで販売されました。
 しかしダイアモンドと比べると屈折率と分散値とが遥かに低く煌きや虹色のファイアーも弱いのが弱点でした。
 しかし希土類元素の添加により多くの色石のサイミュラントとして現在でも僅かながら市場に流通しています;
ピンク・藤色:ネオジウム・エルビウム 空色 :コバルト
金・黄色 : テルビウム、ユーロピウム、ホリビウム、イッテルビウム等
エメラルド・グリーン : ネオジウム、クロム、コバルト、鉄
 赤 : マンガン 緑 : クロム、トリウム、ヴァナジウム
 
自然光と白熱光下のYAG 1.43ct 6.5mm


多彩な色のYAG 0.85−3.48ct 上 3.29ct 下3.5ct 9.2x7.2mm 上 1.7ct 下 1.3ct 上 引き上げ法のYAG結晶
下 2.16ct 9.5x6.5mm 

ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)
左 自然光と右 白熱光下のGGG 2.03ct 6.5mm 引き上げ法で製造され青く発色したGGG結晶片
 YAGに続いてガーネット構造を持つ人工の結晶が主に光学やエレクトロニクス等の産業分野での用途に次々と開発されました。
 GGGもガドリニウムとガリウムと酸素の化合物のガーネット型構造を持つ人工の結晶です。
当初レーザー用の素子として開発されましたが、後にコンピューターの記憶素子への応用で大変な脚光を浴びましたが、その後急速に発展したハード・ディスクやシリコン・メモリーとの競争に敗れました。
 GGGは主に引き上げ法で作られます。
写真では青く着色されていますが、純粋な結晶は無色透明でYAGより高い屈折率2.03とダイアモンドとほぼ同じ0.045の分散値を持ち1975年当時は理想的なダイアモンド・サイミュラントとして新たな注目を集めました。
 しかしモース硬度が6½と低く耐久性に難点がある、ガドリニウムとガリウムという高価な元素が主成分でコストが高くまたダイアモンドのほぼ2倍の比重があること、更に紫外線にて褐色味を帯びてくること等々の弱点から宝石の分野では短命に終わりました。
 しかし近年、断熱消磁によって絶対温度2〜7Kの極超低温を得るための理想的な素子として再々度の脚光を浴びるという、しぶとい存在感を示しています。

キュービック・ジルコニア( Cubic Zirconia)


カルシウム添加のキュ−ビック・ジルコニア 1.82ct 6.5mm
左 自然光 右 白熱光
イットリウム添加のキュービック・ジルコニア 1.93ct 6.55mm
左 自然光 右 白熱光
 これまで述べてきた中で究極のダイアモンド・サイミュラントと言えるのが1976年以降に登場したキュービック・ジルコニアです。
キュービック・ジルコニアについての詳細は別途”バデリー石とキュービック・ジルコニア”を参照ください。
 ジルコニウムと酸素の化合物で天然にはバデリー石と言う同じ化学組成の鉱物がありますが、宝石質ではありません。結晶の合成には2750℃の超高温が必要となりますが、そんな高温に耐える容器がないために、スカル・メルト法という独特の方法で作られます。
純粋な酸化ジルコニウムは温度が下がると別の結晶形の鉱物に変わってしまうため、等軸晶系の結晶として安定させるためにカルシウム、イットリウム等が10モル%以上添加されています。
 したがって合成のキュービック・ジルコニアは天然とは異なる人工の鉱物と言えるでしょう。
 キュービック・ジルコニアが究極のダイアモンド・サイミュラントとされるのはモース硬度が8−8½と十分な耐久性があること、屈折率が2.150−180と高く、分散値はダイアモンドを凌ぐ0.058−066と高く虹色のファイアーが強いこと、更に純白の結晶が簡単に出来ること、価格が極めて安いこと等々数々の利点に恵まれています。
 そのため現在では年産10億カラットとダイアモンドの10倍近い生産量があります。
大半はダイアモンド・サイミュラント用の無色透明な結晶ですが、様々な元素を添加することであらゆる色に発色するため、ルビー、サファイアア、エメラルド等の主要な宝石の代替品としての用途も広がっています。

ニオブ酸リチウムとタンタル酸リチウム(Lithium Niobite and Lithium Tantalite)

ニオブ酸リチウム 1.44ct 6.5mm
左 自然光 右 白熱光
ニオブ酸リチウム 
3.25ct 13.1x6.6mm
ニオブ酸リチウム結晶


タンタル酸リチウム 2.39ct 6.6mm
左 自然光 右 白熱光
タンタル酸リチウム結晶
 
 この二つの結晶はいずれもダイアモンドに近似した高い屈折率と分散値を持ち、カットするとダイアモンドにそっくりです。ただしモース硬度が低く、耐久性が劣るため宝飾品に使われることはありません。
 ニオブとタンタルとはタンタルの密度がニオブの倍近いことを除けば双子のように非常に良く似た性質の元素で、永らく混同されていました。
 自然界ではニオブ成分が多いコルンブ石とタンタル成分が多いタンタル石と、ほぼ同じ鉱物として採掘されます。
ニオブとタンタルの酸化物がそれぞれ酸化リチウムと1:1の化合物として結晶したのがニオブ酸リチウムとタンタル酸リチウムです。
 結晶は写真から明らかなように引き上げ法で作られます。
これらの結晶は1980年代初めごろから大量に生産され、主に圧電素子、表面弾性波フィルター、光偏光素子、光スイッチ、ホログラフ・メモリー等々、音響から光学に及ぶ広範な分野で活躍しています。
 さらに2005年4月のネイチャー誌に掲載された論文ではカリフォルニア州立大学のロサンゼルス校(UCLA)の研究グループがタンタル酸リチウム結晶の大きな分極作用を利用して巨大な温度差を発生させ、その結果として水素の核融合を発生させたとあります。
 実に常温核融合の分野にまで使えるという驚くべき可能性が明らかになりました。


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