新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)

January 2020   :  コレクター・ストーン(Collector Gemstones)


 
世界のコレクター・ストーン 

ブラジルの紅柱石(Brazilian Andalucite)
   
4.40ct 12.8x7.6x6.4mm 

 紅柱石(アンダルーサイト)は変成岩地帯の高温・低圧の環境下で生成する鉱物ですから、日本を含め世界中で広範に発見される鉱物です。
 しかしながら宝石質の結晶となると産地は極めて限られ、ブラジルが大半を占め、その他インド、スリランカ、マダガスカル等から稀に1カラット以下の小さなルースが姿を見せる程度の珍しい宝石です。
 そのブラジルにしても殆どは1カラット以下のルースが大半です。
従って、今回入手した4.4カラットの大きさは紅柱石としては異例の大きさです。
 一般に紅柱石は結晶軸の方向により緑と朱色との顕著な二色の色合いを示しますが、今回入手したルースはどの方向から見てもブランデーのような濃い茶色しか見られないという意味でも異例ですが、資料ではこういう色が無いわけではありません
 念のため屈折率を測ってみましたが、1.639と紅柱石の範囲内に収まっています。

パキスタン産のコレクター・ストーン
         パキスタン産の斜ヒューム石とはずいぶん珍しく、かつて殆ど黒いものを1個入手したのみですから、今回ごく普通の色合いの標本を入手して、なんとなくほっとしたという気分です。
 斜ヒューム石も変成岩地帯に広範に発見される鉱物ですが、宝石質は地続きのパミール産とタンザニア、ヴェトナムとからごく少量、小さなルースが採れるだけの典型的なコレクター・ストーンです。
 

 弗素を含むランタンとセリウムの炭酸塩という組成のバストネス石は斜ヒューム石よりさらに稀少な鉱物です。
 1999年末に、アフガニスタンとの国境地帯のゼイギー(Zagi)丘陵から宝石質の結晶が発見され、ごく稀に1カラットほどの小さなルースが姿を見せるという、極めつけのコレクター・ストーンです。
  
斜ヒューム石(Clinohumite) バストネス石(Bastnäsite)  
 0.82ct7.6x5.2x3.1mm  0.43ct 3.8x3.8x2.5mm  

アフガニスタン産のアフガナイト(Afghanite from Afghanistan)
           
 0.07ct 2.6x2.1mm 0.065ct 2.7x2.6mm 0.056ct 3.4x2.0mm
   
 0.08ct 3.2x1.6mm 0.035ct 2.3x1.9mm 0.035ct 1.9x1.8mm
  アフガニスタンにて1968年にラピスラズリ産地にて発見され、産地に因んで命名された鉱物です。
詳細は宝石ホール・アフガナイトを参照ください。
 目にも鮮やかな青い色は微量の硫黄の不純物による発色で最近人気の藍方石(アウイン)に色合いも成分もそっくりです。
 アウインと同様、透明なルースは0.1カラット以下のごく小さなルースが稀にしか得られません。
写真のアフガナイトは、素晴らしく透明度が高く、更に濃い色合いが美しいのですが、惜しむらくはいずれも0.1カラット未満の小さなもの。よくぞカットしたものと感嘆します。
 稀に1カラットを超える透明な美しいルースがありますが、カラット当たり1万ドルを超えるとあれば、到底手の届く水準ではありません。

マダガスカルの宝石(Malagasy Gemstones)
           コルネルップ石を市場で見かける機会は滅多にありませんから、手ごろな値段であれば、つい手が出てしまいます。
 マダガスカル産は一般に不透明な濃褐色で魅力が無いのですが、時折パステル・カラーの中々美しいものをちらほらと見かけます。
 美しいルースはしかし大半が1カラット未満です。

 2014年末にマダガスカル最南端のトラノマロにて発見されたグランディディエライトのは鉱物・宝石界に少なからぬ熱狂を巻き起こしました。
 これまで、世界の大学や博物館にほんの数点しかなかった鉱物が800㎏もまとまって採掘され、数十グラムの宝石質の結晶も含まれていたのですから、止むを得ません。
 珍しい鉱物とはいえ、しかし、ありふれたアクアマリンにしか見えない鉱物ですから、宝石としては写真のような標本級であれば充分です。 
 これは騒ぎも落ち着いた昨今、2000円程度で入手したものです。
 
  コルネルップ石(Korunerupine) グランディディエライト(Grandidierite)
   0.63ct 6.2x4.7x3.5mm  1.83ct 10.6x7.3x4.0mm
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