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(New Gemtone Gallery)



October 2019  コレクターストーン(Collector Stones)


 
コレクターストーン 0.95 - 2.36ct 

モゴクのパルガス閃石(Pargasite from Mogok, Burma)
      パルガス閃石〔NaCa2(Mg,Fe)4AlSi6Al2O 22(OH)2〕はごく最近まで一般には名前すら知られていない鉱物でした。
この名は最初に発見されたフィンランドの Pargas 峡谷に因みます。
 発見者はロシア陸軍の将軍かつ、フィンランドの総督であった、Fabian Gotthard von Steinheil 伯爵 (1665-1735) です。
パルガス閃石とコルディエ石(菫青石の正式な鉱物名、発見者に因み Steinheiliteとも呼ばれる)の発見者とのことですから、
当時ヨーロッパの上流階級に大流行した鉱物コレクターの一人だったのでしょう。
 名前はまるでドイツ人ですが、ロシア陸軍の将軍でロシアがフィンランドを占領していた時代の総督と、色々歴史的な由来が
推して知れます。
 パルガス閃石は角閃石の一種です。代表的な造岩鉱物 の角閃石族には、かつては宝石質は皆無で、僅かにその一種の
ネフライトが軟玉として工芸品に使われていたのみでした。
 しかし1990年代央にヴァナジウム発色による鮮やかな緑色のパルガス閃石がヴェトナムで発見され、21世紀に入ってからは、
タンザニア、カナダのバフィン島、アフガニスタン、ビルマ等々、世界各地から宝石質のリヒター閃石、透閃石、エデン閃石等の
閃石族の結晶の報告が相次ぎました。
 とは言え、数量はごく僅かで、典型的なコレクターストーンです。 角閃石の詳細は角閃石族にて
 2.36ct 11.8x8.6x5.5mm  

メキシコのダンベリー石(Mexican Danburite)
     世界各地の鉱物フェアにてメキシコ・サン・ルイス・ポトシ州チャルカス の銀、鉛、亜鉛等を産する鉱山群から産する、
10㎝にも達する大きく美しいダンベリー石の結晶をよく見かけます。
 しかし、結晶の大半は無色透明か、稀に淡いピンクです。写真の金色のルースは、主にマダガスカル、ロシアのダル
ネゴルスク、モゴク等の産地からのものは見かけます。金色のメキシコ産は実物はもとより、写真でもMR誌等の資料
でも見たことがありません。
 したがって、このメキシコ産イエロー・ダンビュライトとラベルが付いたルースは、マダガスカル産が誤って紛れ込んだ
可能性があるのです。
 1.95ct 11.1x5.5x4.5mm    

スリランカのジルコン(Srilankan Zircons)
     今日、宝石店でジルコンの宝飾品を見かける機会は皆無といって良いでしょう
 唯一の例外は青いジルコンですが、これも加熱と放射線処理とで美しく変貌したブルー・トパーズが豊富に流通していますから、ジルコンが出る幕は殆どありません。
 したがって豊富に採れるジルコンはカットされることさえ稀な宝石となっています。
 しかし、金色や紫のジルコンは高い屈折率で眩く輝き、なかなか美しいのです。
 2.15ct 8.55x5.66mm  1.87ct 8.55x5.70mm  


カナダの燐灰石(Apaite from Bancroft, Ontario, Canada)
         カナダ産の燐灰石ルースは30年も昔に同じオンタリオ州の Crambery Lake 産の緑色を入手して以来、これが2個目。
 Mindataで調べると、オンタリオ州には6か所の燐灰石産地があって、今回の産地バンクロフトには近接した2か所の産地があります。
 全ての産地でカットできるような結晶が採れるとは限りませんから、こういうコレクター・ストーンは気長に機会を待つのみです。
 0.95ct 7.5x4.8x4.6mm  
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