ベニテングタケ(紅天狗茸)
(Amanita muscaria)
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10月中旬、白樺の根元に出現したベニテングタケの群落 最大のもので高さ12㎝、傘の径が20㎝ |
菌界 | 担子菌門 | 菌蕈(じん)綱 | ハラタケ目 | テングタケ科 | テングタケ属 | ベニテングタケ種 |
Fungus | Basidiomycota | Hymenomycetes | Agalycales | Amanitaceae | Amanita | muscaria |
10月中旬、庭の白樺の根元の周囲に20個ほどのベニテングタケの群落を見つけました。
秋になると森や庭に様々なキノコが姿を現すのですが、大半は名前が分からないので注目することもありませんでしたが、ベニテングタケは特徴のある姿と色合いとで、調べるまでもなく、すぐ分かりました。
以前にも、散歩の合間に2~3個生えているのを見たことはありますが、我が庭に20個もまとめて出現するのは初めてなので、写真に撮って調べてみました ;
最近の研究ではシベリア、ベーリング地域を起源として、その後アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、更にオーストラリアや南アフリカ等南半球に広がり、今や世界的に繁殖しているキノコとなった、とのこと。
白雪姫の物語や数々の童話にも愛らしいキノコの象徴のように登場し、寒冷のヨーロッパでは幸福を呼ぶキノコとして人気があるのだそうです。
日本では標高の高い土地や寒冷地のシラカバやダケカンバ、コメツガ、トウヒ等に発生します。
見るからに猛毒がありそうな色合いで、実際イボテン酸、ムスカリン等の毒成分を含み、食後15~30分で発汗、腹痛、嘔吐、下痢などの症状を惹き起こします。
ただし、毒成分は水溶性なので、何度も水洗いすれば食用可能なキノコであり、日本を含む世界各地で毒抜きをして食用とされているとのことです。
さらにイボテン酸はグルタミン酸より10倍も効果の強い旨味成分で、極めて美味なので、キノコ愛好家には堪えられない種類。
致死量は5㎏と、毒性は至って弱く、そんなに大量に食べることは有り得ないので、このキノコに因る死亡例はまずないとのこと。
ただし、この仲間には食用のタマゴタケによく似た猛毒キノコが多く、素人が誤って食べての死亡例が少なからずあるので要注意 !!!
食用のキノコ | 猛毒御三家のキノコ | ||||
タマゴタケ(Amanita hemibapha⇒caisareiodes) | タマゴテングタケ (Amanita phaloides) |
白タマゴテングタケ (Amanita verna) |
ドクツルタケ(Amanita viroso) | ||
成体 | 幼生 |
これらのキノコは一般に傷み易いので市場には流通しませんが、秋になると愛好家が自ら採集したものを食べたり、隣人に配ったりすることもあり、毎年死亡例が発生しています。
とりわけ猛毒御三家と呼ばれる、同じテングタケ属の3種は猛毒のαーアマニチン、ファロトキシン、アマトキシン等のぺプチド(アミノ酸が短い鎖状になった結合)や溶血性蛋白を含み、一本を食べただけで肝臓、腎臓壊死、劇症肝炎、多臓器不全、脳症等を惹き起こして死に至ります。
とりわけαーアマニチンはサリンよりも毒性が強く、かつてオウム教団が注目して積極的に採集を行っていた程の代物です。