ボタンヅル(牡丹蔓)
(Clematis apiifolia)

   
花径が1cmあまりの小さな花が無数に咲き、華やいだ雰囲気を醸し出すボタンヅル : 野生のクレマチスの 原種です


     
花が終わると綿毛に包まれた実がなる  近種のセンニンソウ ( Klematis ternifolia)



 被子植物綱  キンポウゲ目   キンポウゲ科   センニンソウ属   ボタンヅル種 
 Magnoliopsida   Ranunculales   Ranunclaceae   Clematis   C.apiifolia 

 ずいぶん昔から夏の終わりに庭の隅の地べたに這うように咲く花があり、クレマチスの一種であることは分かってはいましたが、正確な名前は知りませんでした。
 今年は育ちがよく、アカエゾマツの幹に巻き付いて1cm余の小さな花が無数に咲いていたので、しっかりと調べてみました。
 クレマチスの一種とはいえ、無数にある園芸種の中から、正しい名前を探り当てるのは大変かと思っていましたが、30分もかからずに正体を突き止められました。
 これは園芸種ではなく、中国、朝鮮半島、日本の本州から四国、九州に分布する野生種のセンニンソウ属のボタンズルと判明しました。
 小さな花ですが、華やかな外観から、多彩な色合いや大型の花のクレマチスの園芸種へと改良された原種の一つとのこと。
 しかし、小さな花が群れて咲いている様も華やかで美しく、このままでも十分楽しめます。
 例によって植えた覚えはないのですが、北海道には分布しない筈の野生種がいつの間にかわが庭に繁殖していた例です。 
 秋になると綿毛のような種がつきますから、風で飛んできたのかあるいは渡り鳥に運ばれてきたのでしょう。
学名の由来はギリシア語の ”klema : 巻き上げ、蔓と、apium : セロリ、folia : 葉 ”、すなわちセロリに似た葉のつる植物の意味です。
 ほぼ同じ地域に分布する近種でそっくりの花のセンニンソウの学名 ternifolia は三枚葉の意味です。
いずれも植物図鑑には毒性が強いと強調されています。
 キンポウゲ科の多くの花が持つプロトアネモニンにより、触ると皮膚に炎症もたらされるとのこと。


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