豊穣の森

車葉草(クルマバソウ)
(Asperula odorata/Galium Odoratum)


5mmほどの純白の花 日陰では10cmだが日当りが良いと30cmあまりに成長する車葉草 いがいがのついた実

Plantae Magnoliophyta Magnoliopsida Gentianales Rubiaceae Asperula odorata
植物界 被子植物門 双子葉植物綱 リンドウ目 アカネ科 クルマバソウ属
   密生する熊笹を駆除し、周囲の木々の枝を払い落として陽光が差し込むようになった森の中に最初に進出してきたのが車葉草でした。
 初めは森の西側の夕日が当たる辺りに小さな群落を成していましたが、2〜3年もすると500平米ほどある森の半分を占めるほどの大群落となりました。
 車葉草の和名は輪生する葉を平安時代の牛車の車輪に見立てたもの。円形に群落するのも特徴です。
ラテン語の学名は "asper (粗面 : 葉がごわごわしている)" と "odoratus : 芳香のある" の意味です。
 何故かもう一つある学名  "galium" は 元素のガリウムと同じ、ローマ帝国時代の属領のガリア(現在のフランス)に因むのでしょう。
古来よりヨーロッパでは車葉草を芳香性のハーブとしてワインやリキュールに添加したり、鎮静剤として使用していました。
 車葉草には桜餅の香りの成分と同じ芳香成分のクマリンが含まれています。
生きている草は匂いません。 クマリンは乾燥させたり、塩漬けにすると酵素の作用で生成されます。
 因みに日本で軽油の脱税防止対策として灯油や重油に添加されているのが何と合成クマリンなのだそうです。
 純白で可憐な花の芳香成分がとんだ生臭い用途に使われているのですね。
 車葉草属の植物はヨーロッパから北アフリカ、アジア、オーストラリアに200種ほど分布しています。
日本では北海道から本州の涼しい土地に広範に分布している野草です。
 北海道の札幌近郊では6月初旬から中旬にかけて半日陰の森の中などに純白の5mmほどの漏斗状の花を咲かせます。
 花の後にはいがいがの着いた小さな実が出来ます。これが人や動物にくっついて遠くまで運ばれます。
 我が家の庭では地下茎が伸びて大群落となっているようです。

森の中の丸い群落 6月初旬〜中旬にかけて満開となる車葉草


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