アストランチア・マヨール (Astrantia Major)



遠くからでは目立たないもの、近くで見ると華やかな風情のアストランチア・マヨール


花の様子から、ラテン語で”星” と命名された華麗な花 花径は2cm余り


半日陰の森の一角にこんもりと茂ったアストランチア・マヨール


モクレン綱  キク亜綱 セリ目 セリ科  アストランチア属  アストランチア種
 Magnoliopsida Asteridae  Apiales  Apiaceae Astrantia A.major

 数年前から7月の森の中に見慣れない花が一株こんもりと花開くようになりました。
花径が最大で3cmほどの大きさのうっすらとピンクを帯びた白い花です。
 仄暗い森の中では余り目立ちませんが、近寄って花を眺めると、なんとも華麗な美しさを秘めています。
 夏の北海道には、道端にレースのような華やいだセリ科の花が群落を作っているのは良く見かけます。
葉と花から、この花もセリ科の一種であろうと見当をつけたのですが、手持ちの野生の花の図鑑をいくら探しても見当たりません。  
 この花が何なのか、ようやく分かったのは、我が家から12km南にある札幌市北区の百合が原公園にて同じ花を見つけたためです。
 百合が原公園は25ヘクタールの広大な土地に、その名のとおり多くの百合のコレクションと、薔薇園、ダリア園、ライラック園、芍薬園、高山植物のロック・ガーデン、ヒース園、多様な野草や園芸種の草花、さらに日本庭園、中国庭園、ドイツ庭園、アメリカ庭園、公園を一周する遊覧電車まである公園です。
 一年中多くの花を楽しめるために毎年20回以上訪れているのですが、それでも花期を逃してしまうことが多く、どこに何があるのかをしっかりと覚えておかないと、稀少な花の花期を逃してしまいます。 
 公園の一角、手塚治虫の ”メタモルフォーゼ” に出てくる奇妙な植物のような草花も植わっている世界の野草園にて、昨年の7月にようやくにして花の盛りのアストランチア・マヨールをついに見つけました。
 ”Astrantia” とはラテン語で ”星” を、同じく ”major :大きい” とは大きな葉を意味するとのこと。
 華麗な姿から今では多くの園芸種が出ていますが、わが森に根付いたのはヨーロッパから中央アジアの原産種に近いものと思われます。
 写真のこんもりとした群落は実は一つの大株ですが、7月中旬の2週間に及ぶ梅雨のような雨季のために60cm余りの茎が倒れて広がってしまったものです。
 しかしこの数年の間に、周囲に10株ほどの新芽が育ち、更に30m余り離れた庭の片隅にも小さな株が育つなど、すっかり北海道の気候に馴染んで増えています。

 

Top 豊穣の森