ネクタロスコルドゥム・シクルム・ブルガリクム
(Necutaroscordum siculum sub.sp bulgaricum)
雪溶けとともに多数の芽が伸びてくる | ネギ坊主のような塊りの中から無数の蕾が姿を現しゆっくりと花開く |
単子葉類 | キジカクシ目 | ヒガンバナ科 | ネギ属 | ネクタロスコルドゥム属 | シクルム種 | ブルガリクム亜種 |
Monocots | Asparagales | Amaryllidaceae | Allium | Nectaroscordum | siculum | sub.sp bulugaricum |
数年前に家人が薔薇園の片隅に植えたのがこの花。
昨年まではひょろひょろと数本の芽が出て60㎝程の高さの茎の先に5月末頃、一本の茎に10個~30個の風鈴のように下向きの花開くこの植物が一体何なのか、名前をすっかり忘れてしまって探すのに大いに手間取ったものです。
和名がなく、学名そのものの ネクタロスコルドゥム・シクルム・ブルガリクムなる、呪文のような名前に辿り着いたときには、今更ながらインターネットの威力にほとほと感心した次第です。 園芸店ではアリウム・シクルム(シクラム)の名称で扱われているようです。
何しろ図書館で、球根植物1000種の図鑑を隅々まで入念に探しても見つからず、花の形から瓔珞百合(フリチラリア)の仲間かと探しても見つからず、アガパンサスの変種かもと探して分からず、葉や茎を折るとネギのような匂いがすることから、ひょっとするとネギ科のアリウムの仲間かと、ようやく捜し当てました。
ヒガンバナ科ではなくユリ科とする資料もあって、学名は確かではありませんが、ネギの遠縁なので、首記の学名で表記しました。
長々とした呪文のような学名の意味は : Nectar (ギリシア神話の神々の飲み物、蜜、芳香) scordum (ギリシア語のニンニク) siculum (シシリアの)、bulgaricum(ブルガリアの)の組み合わせで、、即ち、ニンニクのような香り、という属名にシシリー産の、という種名であり、更にブルガリアのという亜種名がつけられています。 なんでもブルガリアではこの花をスパイスとして使うのだそうです。
ニンニクの匂いのするネギ科の植物ですから、スパイスとして使えるでしょう。
学名のネギ属の allium とはラテン語でニンニクを意味します。
肥料をたっぷり施した、ふかふかの薔薇園の一隅に植えたので今や30本余りの茎が束ねて立つ大株となりました。
春先、4月初旬~中旬の雪溶け後直ちに多数の芽を伸ばし、5月末にはネギ坊主のようなつぼみの中に20個を超えるつぼみの塊が膨らんで来ます。
6月初旬~中旬にかけてネギ坊主の白い皮がむけるとつぼみが姿を現し、1週間~10日かけて無数の花が鈴なりに花開きます。
ホームページ等のどの写真も花の色や形は全て同じなので、亜種名のようにブルガリアやトルコの原産種の特徴がそっくり残され、他の園芸亜種が作られていないようです。
薔薇園の一隅に名前も姿もエキゾチックな花が群生するのも一興と、見るたびに呪文のような名前を唱えているこの頃です。