スズラン(鈴蘭)
Convallaria majalis var. Keisuke


   
ツルニチニチソウの中に数十株の群落に増えた日本原産のスズラン 


   
日本原産のスズランの花  北向きの庭のスズラン  森の中の群落 


           
植物図図鑑のスズラン  花の後に実がなり、おいしそうに熟するが、致死性の有毒なので要注意 !!!   ラン科のエゾスズラン 30 - 70cm 


   
日本原産のスズランの花  雄蕊の付け根が赤い
ドイツスズランの花 


単子葉類 キジカクシ目  キジカクシ科   スズラン亜科  スズラン属   スズラン種   日本亜種
 Monocots   Asparagales   Asparagaceae  Nolinoideae   Convallaria  majalis   var. Keiskei 
  スズランと言えばライラックとともに北海道の初夏を代表する花です。
漢字では鈴蘭ですが、ラン科ではなく、また英語では Lilly of the Valley (谷間のユリ) と呼ばれますが、ユリ科でもなく、キジカクシ科の花です。 
 もっとも、多くの昔の植物図鑑や園芸書等にはユリ科と分類されています。が、この20年ほど、DNAに因る分類の見直しが行われていて、最新の分類ではキジカクシ科に変更されています。
 スズラン属の学名はラテン語の ”convallis : 谷” と ”leirion : ユリ” から、”mayalis : 五月に花咲く” という意味です。 日本亜種の学名 Keisuke は明治初期の植物学者伊藤佳介に因みます。
  
 本州以北、北海道の山地や草地に自生する花で、大群落のある地では観光名所になっています。
 ただし、一般に園芸店にて見かけるのは大半がヨーロッパ原産のドイツ・スズランと呼ばれる園芸種で、中にはピンクや八重咲の花、斑入りの葉等も見られます。
 北海道には蝦夷スズランと呼ばれる大型の植物が野生で見られますが、これは名前こそスズランですが、花を見ると分かるように、まぎれもなくラン科の植物です。
 
 日本産のスズランとドイツスズランとでは、ドイツスズランの方が大きい(最大高50㎝)、花が葉よりも高い位置に咲くとありますが、地方での気候や土壌等の条件、個体差により変わります。
 見分ける唯一の方法は、写真のように花の中を覗いてみるのが最も分かりやすい ; 日本原産の鈴蘭は
花の内部が純白ですが、ドイツスズランは雄蕊の付け根が赤紫色という違いがあります。

 我が家の森と庭に咲いているのは20年余り昔に、日本の野生種を植えたものです。
なかなか増えなかったのですが、近年、土地に馴染んだのか、ようやく数十株の群落となり、5月末ごろから6月初旬にかけて清楚な花の群落を楽しめるようになりました。

!!! スズランは毒草 !!!
 
清楚な見かけのスズランですが、数ある毒性植物の中でも屈指の致死性の毒を持つ危険な植物です。
根、花、茎、実と全草に強心性のコンバラトキシン等のアルカロイドを含みます。
 同じく強心性のよく似た構造の毒を持つジギタリスの10~15倍の量があり、スズランが活けられていた花瓶の水を飲んだ子供の死亡事故が報告されています。
 さらに秋に赤く熟するおいしそうな実を食べた子供の死亡例も報告される等、要注意です。 
日本ではとりわけ、北海道で春に、葉がよく似た行者ニンニクと間違えての中毒例がしばしば報告されています。


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