更紗空木(サラサウツギ、八重空木、、卯の花)
(Deutzia crenata form plena)



       
花径1cmほどの薄紅色の小さな花だが、円錐状の花序が無数につき、開花時には華やいだ雰囲気となる  背後の太い枝と大きな葉は枝垂桜 


 ユキノシタ科  ウツギ属 サラサウツギ種 
Saxifragaceae  Deutzia  crenata form plena 


 3~4年ほど前から庭の斜面の日当たりの良い場所に見慣れぬ木が伸びて来て、去年からふさふさとした可憐な花を咲かせるようになりました。
植えた覚えは全くないのですが、庭に桜やジューンベリーの木があり、実が熟する季節には多くの小鳥が訪れるので、小鳥の糞とともに排泄された種から育った木に違いありません。

 この木が何なのか、いつもの通り、450種余りの樹木が掲載されている樹木図鑑を片っ端から開いて行くと、よく似たウツギ(空木)に遭遇しました。 ただし空木の花は純白だし、花弁も一重で少し違う。
 が、ここまで辿り着けば、あとは簡単、ネットで調べて、この木が、赤紫の蕾から、初めは房状の八重の薄紅色の花が咲き、次第に純白に変わって行く、空木の変種の八重空木の、更に薄紅色の変種の更紗空木と名付けられた園芸種であると判明しました。
 空木とは、茎が中空になっていることから名づけられたもの。 更紗とはインド起源の木綿の織物ですが、その二色の染色から更紗が紅白の二色をも意味するようになったとこのこと。
 さらに旧暦の四月を卯月と呼ぶのは、空木の花が咲く頃に因み、空木のウから採って卯月としたとのこと。

 童謡、”夏は来ぬ” の ”卯の花の 匂う垣根に ほととぎす(時鳥) 早も来なきて” の卯の花とは、もちろん空木の花のこと。

 と、今回、いろいろなことが分かったような次第。 卯の花とは菜の花のことかと思っていた。

 学名の Deutzia とはシーボルトの孫弟子の名前から、 crenata とは花の形の円鋸歯状を、 form plena は 八重を意味します。

さて、ウィキペディアでは、空木はアジサイ科とされています。
 が、植物等の分類は20世紀末から旧分類法の新エンゲラー体系からクロンキスト体系へ、更にAPGIII体系へと、この20年ほどで目まぐるしく変遷している渦中にあり、正しい学名は不明です。
 空木はアジサイに近い植物ですが、より近い、ユキノシタ科を採用しました。


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