二輪草 (ニリンソウ)


森のズミの木の下に根付いたニリンソウ 1cmほどの蕾 花は2cmほどの大きさ 蛙の足のような葉が特徴


モクレン亜綱  キンポウゲ目  キンポウゲ科  イチリンソウ属 ニリンソウ
Magnaliidae  Ranunculales  Ranunclaceae Anemone  Anemone flaccida

ニリンソウと同じキンポウゲ科イチリンソウ属の花々
一輪草(イチリンソウ) 三輪草(サンリンソウ) 白山一花(ハクサンイチゲ) 蝦夷之白山一花
(エゾノハクサンイチゲ)
蝦夷一花(エゾイチゲ)
Anemone nikoensis Anemone stolonifera Anemone narcissiflora Anemone narcissiflora
var. sachalinensis
Anemone yezoensis


   ニリンソウは日本各地と中国からロシア等、極東に固有の野生種です。
とりわけ日本では全国の林床地に早春のみ可憐な姿を見せる、典型的な ”スプリング・エフェメラル : 春の妖精 ” を代表する野草です。
 北海道でも、4月下旬、野山のどこでも見かけますが、わが森にも何時かはと長らく期待していたのが、昨年、ようやくズミの根元に根付いて姿を見せてくれました。
 しかし一ヶ月後の5月末には花も葉も茎もすっかり姿を消して、地上には見当たりません。
根のみが来年の春を待って長い眠りにつきます。
 二輪草とは二本の花茎が花をつけることに由来する名前ですが、実際には一輪も三輪もあり、その上花弁に見える白い萼片が緑色や淡いピンク等のへ変種もあるので、同じ仲間の一輪草や三輪草、更に同じキンポウゲ科イチリンソウ属のイチゲ類ともよく似ていて紛らわしい限りです。
 しかし一輪草は花径が5cmと大きいし、三輪草は白い花弁のように見える萼片が半ば内側に丸まったように咲き、二輪草のように大きく開ききって咲かない上に、花期が6-7月と遅いので、4月末に見かけるのが二輪草であると見分けがつきます。

 学名のAnemone はギリシア語の ” Anemos : 風 ” と ” flaccida : 柔らかな ” から。 
二輪草は極東の固有種ですが、欧米に咲く同種の花の英語名の Soft Windflower は学名の英語直訳、可憐な葉と茎と花とが風に揺らぐ様子が名前の由来です。

 同じ仲間のハクサンイチゲ ( Anemone narcissiflora ) と、その変種である エゾハクサンイチゲ (Anemone var. sachalinensis ) が花も葉も二輪草にそっくりですが、いずれも学名のとおり、花がやや水仙のような雄蕊と雌蕊とが中心に円環状に密生して咲くこと、更に高山地帯に 6〜7月に咲くことなど、花期と咲く場所が異とから区別がつきます。
 しかし、キンポウゲ科、イチリンソウ属には他にもアズマイチゲ、キクザキイチゲ、 エゾイチゲ等々良く似た名前の白い花をつける野草が数多くあります。
 今回わが森に咲いたニリンソウをじっくりと観察して特徴を確かめたので、これからは他所で類似種に出会っても、それらが何なのか」、しっかりと識別できそうです。
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