豊穣の森


レンギョウ・連翹
( Forsythia suspensa)


       
我が家の庭や、周囲の公園などを華やかに彩るレンギョウの群生  4月初旬・仙台  


       
レンギョウの実  トモエソウ(Hypericum ascyron)  オトギリソウ (Hypericum androsaemum) 


真正双子葉類   キク類   シソ目    モクセイ科    レンギョウ属     レンギョウ種 
 Eudictos   Asterids  Lamiales   Oleaceae  Forsythia   F.suspensa 

 仙台では4月初旬のころから庭や街角の至る所がレンギョウの大群落が彩られ、春の訪れを実感できます
 しかし、北海道では5月中旬を過ぎないと咲きませんが、しかし仙台のような大群落にはならず、ひっそりと花開き、注意していないと、その存在にすら気が付かないほどです。
 連翹には沢山の名前があり、大変勉強になりました ;
まず、連翹という漢字は中国語の音読みですが、実は中国ではレンギョウの正しい呼び名は黄寿丹であり、近種のシナレンギョウ(Forsythia viridisima) は金鐘花と呼ばれ、同じく近種のチョウセンレンギョウ(Forsythia ovata, koreana、朝鮮語ではケナリ)と共に、一般にレンギョウと呼ばれているのだそうです。
 では何故レンギョウが連翹と書かれるようになったのかといえば、かつては連翹とは同じく黄色い花を咲かせる、オトギリソウやトモエソウを現す名であったとのことです。
 これらの実が薬用に使われていたのですが、宋の時代以降、山西省南部でレンギョウが大量に栽培されて、その実が薬用として連翹の名で売られるようになり,終に連翹がレンギョウを意味するようになってしまったという次第です。
 連翹の学名、Forsythia とは19世紀初頭、イギリス王立植物園長だった、William Forsythに因み、種名の suspensa は花をつけた枝が垂れ下がることから、ラテン語の”吊るされた”という意味です。
 さて、連翹はヨーロッパ種のバルカン半島原産の西洋連翹(Forsythia europea) の他に、アジアに6種の原種があります。
 日本原産として、中国地方の石灰岩地に分布するヤマトレンギョウ (Forsythia japonica) と、同じく小豆島の石灰岩地に分布する、ショウドシマレンギョウ (Fosythia togashi) との2種があり、これらはいずれも絶滅危惧種に指定されています。
 ついでに、連翹は英語では Golden Bells、あるいは Golden Bell flower と呼ばれます。
前述のように、中国の宋時代に薬草として大量に栽培されたのは、天日乾燥されたレンギョウの実に含まれる トリテルペン、モノテルペングリコシド、リグナン等の化合物が貴重な抗菌作用を持っていて、チフス菌、緑膿菌、ブドウ状球菌、連鎖球菌等の広範なグラム陽性、陰性菌に効果があり、さらに消炎、利尿、排膿、解毒作用があるのです。
 古来より、医者が植物学にの専門家でもあったのは、医療とはすなわち投薬が重要な役割を果たし、薬の大半が植物から得られるためですが、しかし、レンギョウの実の広範な抗菌作用は、数ある植物の中でも屈指のものですね !!!!
 今日、多くの抗生物質が強力な耐性菌の出現で効力を失っている中で、古来から使われて来た薬草を見直す必要があるのではないかと痛感する次第です。 


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