豊穣の森


シラネアオイ (白根葵)
(Glaucidium Palmatum)


   
   
5月初旬から中旬にかけて札幌市北区百合が原公園に群生するシラネアオイ 


 被子植物部門  双子葉植物綱   キンポウゲ目  キンポウゲ科   シラネアオイ属   ヤマシャクヤク種 
 Magnoliophyta  Magnoliopsida  Ranunculares  Ranunculaceae  Glaucidium  G.palmatum 

 奥日光の白根山に群生する、タチアオイのような花を付けることからシラネアオイ (白根葵) と命名された
日本固有,1属1種の花。
 北海道から本州中北部の亜高山帯に群生する。
白、淡青、淡紫、淡ピンクの花弁のように見えるのは実は萼片です。
 もっとも、殆どの美しい花は萼片が進化したものですから、花と呼んでも差し支えありません。

 5月から7月にかけて日本の亜高山帯では、シラネアオイの群落が登山者を楽しませてくれます ;

北海道、夕張岳のシラネアオイ群落
   
7月初旬でも標高1000mを超えると日陰では1mを超える積雪がある 通称釣鐘岩の背後にそびえる夕張岳 (標高1,668m)


   
   
標高1000m の登山道を覆いつくすシラネアオイの大群落

 北海道中部にある夕張岳は、1996年に ”高山植物群と蛇紋岩メランジュ帯” の植物学と地質学との貴重な遺産として山体全てが天然記念物に指定されました。
 ユウバリソウ、ユウバリリンドウ等々、夕張山固有の植物を始め、北海道の固有の植物600種のほぼ全てが見られる土地として、花の夕張と呼ばれるほどの豊穣の山地です。
 蛇紋岩メランジュ帯とは、中生代白亜紀末から新生代第三期 (1億年ー1000万年昔)にかけての大規模な造山活動により、海底が盛り上がった地層に地球深部のマントルから上昇した超塩基性の蛇紋岩とが交じり合った複雑な地層が形成され、マグネシウムを含む特異な地質は独特な植生にも影響を与えと考えられています。
 登山道が開放されるのは6月末から9月初旬と短く、さらに登山口へ至る8kmの長い林道は、台風やがけ崩れでしばしば閉鎖されるため、登山の機会は限られます。
 標高差が1000mを超える急峻な登山道は往復8時間とかなりの体力を要しますが、好天に恵まれれば、花の百名山に相応しい無数の花々を楽しめる快適な登山が楽しめます。


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