木槿
( Hibiscus syriacus )


     
       
     
     
       
 双子葉類    バラ類  アオイ目   アオイ科   芙蓉属   ムクゲ種 
Euidicos  Rosids  Malvales   Malvaceae  Hibiscus  syriacus 
  ムクゲは夏を代表する花といえるでしょう。
さて、この花には他に様々な呼び名があり、混乱してしまうことがあります ;
 万葉集に秋の七草の一つとして朝貌(あさがお)と呼ばれる花が実はムクゲなのだという説があります。 
 さらにムクゲは ”ハチス” とも呼ばれるとあり、ハチスとは蓮の花と思っていたので、ドキッとして調べたところ、蓮の花が芙蓉、または水芙蓉と、ムクゲと同じアオイ科芙蓉属の芙蓉の名で呼ばれるとのこと。
 恐らくは、その美しさからまるで似ていない蓮と、芙蓉と木槿の花の呼び名に混同が起こったようです。
 ところでこのラテン語の学名 ” Hibiscus(イビスクス) ” は英語の発音ではハイビスカスとなりますが、一般に熱帯や亜熱帯に咲く木槿の種類がハイビスカスと呼ばれるようになっただけなのです。 
 子供のころ花屋で見かけるハイビスカスの花が、木槿や芙蓉にそっくりだと思ったことは正しかったのだと、今更ながら思い出します。
 ふたたび Hibiscus の学名についてですが、これはエジプトのトキの頭を持つイビス神が語源という説がまことしやかに流れています。 
 この花とイビス神とどういう関連があるのかとあれこれ調べてみました。 すると、イビス神との関連は、単に発音が似ているというだけの全くのこじつけで、正しくは古ギリシア語で近種の大きな花のタチアオイが ”ibiscos ” と呼ばれていたものをラテン語の ”hibiscos” と呼ぶようになったとのこと。
 種名の ”syriacus” とはシリアのという意味ですが、シリアとは昔は地中海東部沿岸の広範な地域がシリアと呼ばれていたことを指します。
 木槿は韓国の国花とされていますが、韓国が原産というわけではなく、インド、中国、中近東に広範に自生し、日本ではすでに万葉や平安時代には広く知られていた花ですから、ほぼ日本にも自生していたと考えるべきでしょう。
 暑い地方であれ、北海道のような寒冷地であれ、こぼれ種から次々と新芽が出てきて殖える旺盛な繁殖力を持つ草木ですから、無数の色合いや模様の園芸種が作られています。
 大きな美しい花は一日しかもちませんが、無数の蕾から次々と涼しげに咲く花を暑い夏の日々に嬉しく楽しむことができます。
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