ルピナス (Lupinus)


       
       
       


 
花の後の枝豆のような実  莢と小粒の豆


 真正双子葉類   バラ類   マメ類   マメ目 マメ科   ルピナス属 
 eudicots  rosids   fabids   fabales   Fabaceae  Lupinus 

 ルピナスは地中海沿岸、アメリカに300種以上あり、現在は南北アメリカ、アフリカ、オセアニア、日本でも寒冷地には野生化して、空地に大群落を作ります。
 名前の由来には二つの説があり、一つはラテン語で狼を意味する Loups に由来し、旺盛な繁殖力で空地に浸食することに由来します。
もう一つはギリシア語源の悲哀を意味する Lupe に由来し、このマメが非常に苦いことから、マメを噛んで苦虫を嚙み潰したような情けない顔になることに因むため。 
 ”怪盗ルパン” シリーズのルパン(フランス語では Lupin :: リュパンと発音) とはまさにルピナスの事。
 因みに日本名でハウチワマメ (葉団扇豆) と命名されているとのことですが、全く一般的ではありません。
 アルカロイドを含むマメは毒性があり、恐ろしく苦いが、数日間水に晒して毒を抜けば食用になり、世界で広範に食用として使われているとのこと。 それにしては食用のルピナスマメなど見たことはありませんが。
 下の写真はニュージーランドの国立公園で空地や湖畔を覆い尽くして繁殖しているルピナスの大群落。
幻想的なまでの美しい景色ではありますが、余りにも繁殖しすぎて、凶暴な雑草と化し、どうにも手が付けられなくなっているとのこと。
 一本の根茎から数本の茎が伸び、それぞれの茎に100を超える花が咲き、一つの花から最大8個の小粒の豆が実ります。
即ち、一本の茎から数千個の種ができることになり、鼠算をはるかに超える、凶暴なほどの繁殖力を持っているのがルピナスです。
 しかしその華麗な姿から、20世紀初頭に園芸用に交配された多彩な色合いのラッセル・ルピナス種が広く流通しています。
 ルピナスは寒冷地では宿根草の多年草ですが、温暖地では夏を超せずに1年草となります。
日本では東北南部がその境界となります。 仙台では多年草として旺盛に繁殖しています。

ニュージーランドのルピナスの群生 (Lupinus colony in New Zealand)
 


   

アラスカ キーナイ国立公園に咲くルピナスの群落
(Lupinus Colony in Kenai Fjords National Park, Alaska)

北米ワシントン州レーニア山のルピナス群落
(Lupinus Colony in Mt. Rainier alt. 4,392m)
 
 ルピナスを初めて見たのは1980年、スイスに赴任して初めての夏、ツーク湖畔の群生でした。
見たこともない華麗な花の群生に大いに感激したものです。
 その後1999年に北海道に暮らすようになり、冷涼な気候で至るところに群生しているので、スイスを懐かしく思い出したものでした。
 冒頭の写真は仙台の庭と、北海道の庭と森とに群生しているルピナスです。
当初はもっと多彩な色合いがあったのですが、濃い紫や橙の花はうっとうしいので、優しい色合いの株だけを残したものです。
 放置すると凶暴なまでの繁殖力で増え続けるので、花が終わった後はマメが残らないように徹底的に間引きしています。
 ただし大きく爽やかな緑の葉は夏枯れ時には庭を飾る格好の彩となるので残しておきます。
オダマキと同じ2年生なので種をまいた翌々年に発芽します。

 TOP  豊穣の森