勿忘草・忘れな草・エゾムラサキ
(Myosotis alpestris/scorpioides/sylvatica)
庭や森のあちこちに大きな群落を作る勿忘草 |
花径は5㎜程度だが青、白、ピンクの花が無数に群落して華やいだ雰囲気を醸し出す |
Angiosperms | Eudicots | Asterids | Lamiales | Myosotis | scorpioids | alpestris | sylvatica |
被子植物 | 真正双子葉類 | キク科 | シソ目 | ワスレナグサ属 | シンワスレナグサ | ノハラワスレナグサ | エゾムラサキ |
ヨーロッパ原産で北半球の温帯から寒帯まで50種が分布。
日本にはエゾムラサキ種が自生していたが、明治時代に輸入されたノハラワスレナグサとの交配種が野生化して各地に群生している。
北海道、東北の寒冷地では多年草だが、以南の温暖地では暑さに弱く、夏を越せないため一年草となる。
淡青(紫)、鮮青の花を持つものはエゾムラサキとノハラワスレナグサ系の野生種だが、ピンクと白い花を持つものは園芸種系とされる。
が、冒頭の写真のように、様々な色合いや形状の花が入り混じって繁殖しているのが実情。
分類はともかく、単にワスレナグサとして北海道では早春から初夏にかけて森や庭、空き地に咲き乱れる勿忘草の群落を楽しめば良いこと。
名前について
学名の Myosotis とはギリシア語の ”二十日鼠 : myos と 耳 : otis ” から。
これは葉から茎まで細長く柔らかな軟毛に覆われている葉の様子がネズミの耳に似ていることに由来する命名です。
一方、忘れな草の呼び名は中世ドイツの悲恋伝説に因みます ;
恋人のためにドナウ川の岸辺に咲くこの花を摘もうとして岸に降りた騎士が足を滑らせて急流に飲み込まれ、花を岸に投げて ”僕を忘れないでくれ : Vergess-mein-nicht !!! ” と叫んで死んだ、という逸話です。
この逸話が広くヨーロッパ中に広まり、各国で同じ意味の呼び名が残されているとのこと ;
イタリア語 : nontiscordardimé、 スペイン : nomeolvides, スウェーデン語 : förgätmigej
ハンガリー語 : nefelejcs、英語 : forget-me-not
ただし、フランス語 では ” myosotis ”、 ポルトガル語も ” myosótis ” とギリシア語起源の学名が使われています。