裏白苺(海老殻苺) : Japanese Wine berry, Wine raspberry


バラ科キイチゴ属 :  Rubus phoenicolasius Maxim.


大きさ1cmほどの地味な花 最大で2cmほどの熟した実 実生の様子


初夏の葉 葉の裏側 一面のとげで覆われた枝 垂れ下がった実生

 数年前から森の片隅の崖の上の斜面に橙色の木苺が生っていました。 
6月初旬に棘に覆われた蕾が開いて1cmほどの地味な花が咲きます。
余りにも地味なので注意しないと開花に気がつかないほどです。
 8月初旬の頃から橙色の実が熟し初め、完熟すると透き通った赤に変わります。
完熟した実はねっとりした食感で微かに酸味を感じさせる複雑な味わいです。
 種は小さく、ぷつぷつと砕けますが、食感を損なうほどではありません。
 数ある木苺類の中で、もっとも美味なものの筆頭に挙げられるでしょう。
 英名のワイン木苺は、その複雑な美味を賞したものかもしれません。
 余り見かけない種類の木苺ですが、中国、朝鮮半島と日本に分布するとのこと。
蝦夷裏白木苺の亜種もあります。
裏白とは葉の裏側が白いことから、別名の海老殻苺は、葉、葉柄、萼等に赤褐色の
長い線毛が生えていて、海老の殻を思わせることに由来するとのことです。
 美味しい木苺なので、落ちた実をあちこちに蒔いて増やそうとしていますが、
なかなか増えてはくれません。 
小鳥が食べて消化管を通らないと発芽しない種類かもしれません。
 1m余り長く伸びた枝の先に群生する実で、熟すると地面すれすれに垂れ下がり、
小鳥に見つけられないのかも知れません。


Top 豊穣の森