マムシ草(蝮蛇草、コウライテンナンショウ、ホソバテンナンショウ)
(Arisaema Serratum)


高さが80cmほどになる 茎のまだら模様が蝮を連想させる
が、緑と白の縞模様の仏焔苞と呼ばれる花は華やいだ雰囲気
今では森のあちこちに十数本に増えている


森のあちこちに十数株に増えた蝮草 秋にかけて玉蜀黍のような実がなり、熟すると赤くなる

テンナンショウ科の近種の仲間

ウラシマソウ(浦島草)
Arisaema thunbergii Blume
オオマムシグサ(大蝮蛇草)
Arisaema takedai Makino


単子葉植物 サトイモ目 サトイモ科 テンナンショウ属 マムシグサ種
Liliopsida Arales Araceae Arisaema Serratum

 恐ろしげな名前は、写真のように茎のまだらな模様や、特異な形をした仏焔苞と呼ばれる花の部分とが
鎌首をもたげた蝮蛇を連想させることによる命名とのこと。 
 実際、薄暗い森の中で見かけるといささか不気味です。
 同じ仲間の浦島草や大蝮蛇草は仏焔苞が縞のある紫色をしていて、その上に細長い紫の長い舌のように見える花序が伸びて、あたかもコブラが大きな口を開けて鞭のような舌を伸ばしているように見えますからもっと不気味です。 
 こんな不気味なのが生えてきたら、きっと抜き捨ててしまったことでしょう。
 テンナンショウ科の植物の多くは実、茎や葉等,全草に多量のシュウ酸カルシウムの針状結晶を含み食べると刺すような刺激と激しい痛みを与える有毒植物です。
 もっとも、茹でた根茎を何度も水にさらし、灰汁抜きをして、もちのようにして食べている地方もあるとのこと。
 中国では、乾燥した根茎を子宮頸癌の治療に用いているとのこと。
 サトイモ科の植物で、ウラシマソウ、テンナンショウ、オオマムシグサ、ムラサキマムシグサ、アオマムシグサ等々、日本各地に30種余りの仲間があるとのことです。
 我が森に生えているのは、はじめはどの種類か区別が着きませんでしたが葉が緑色のアオマムシグサのようです。 
 日本各地に広範に繁殖しているためでしょう、別名、コウライテンナンショウ、ホソバテンナンショウと様々な名があります。 
 
 密生する熊笹を取り払い、木々の枝を落として陽射しが差し込むようになった10年余り前に、いち早く1本だけ生えてきたのが、5年ほど経って毎年実が生るようになると、実をばら撒いたわけでもないのに今や周囲20mほどに10数株に増えています。 
 このままでは大群落になるかも知れません。
 幸いマムシグサの花は、イタリアのリゾート地の海岸のパラソルのような爽やかな緑と白の縞模様の花苞なのでたくさん咲いても、恐ろしげな雰囲気にはなりません。
 この森には昔は本物の蝮もいて、稀に見かけましたが、最近は全く姿を見せません。 
 毎日決まった時刻に庭に来る狐か、あるいは時々姿を見せる狸かミンクに食べられてしまったようです。
 北海道ではかつて毛皮を採るために養殖していたミンクが野生化して繁殖していて、わが庭でも時折見かけるのです。

Top Nature Hall